■ はじめに:理念と現実のあいだで
「子どもの成長を支えたい」
「福祉の力で社会をよくしたい」
そんな志でこの分野に飛び込んだ方ほど、ぶつかる壁があります。
それが、「あれ?これって、本当に利益出るの?」という疑問。
児童発達支援・放課後等デイサービスは、福祉事業でありながら「経営」でもあります。どれだけ理想があっても、現実的な収支構造を理解していなければ、継続は困難です。
本日は、「収支のリアル」を赤裸々に、そして“持続可能な療育経営”の考え方を、エコルド本部・中山の目線からお伝えします。
■ 児童発達支援・放課後等デイの基本収益モデル
この事業の収益は、基本的に児童1人あたりの「単位数(報酬)」×利用人数で成り立ちます。
主な収入要素は以下の通り:
- 基本報酬(利用者数×日数×単位)
- 加算(個別支援加算、送迎加算、特別支援加算など)
- 減算(配置人員が足りない、支援記録がない、などで報酬減額)
収入を増やすには、
- 利用者数を増やす
- 稼働日数を増やす
- 適切な加算を算定する
という、ある程度“定石”があります。
■ 利益が出ないパターン①:人件費に偏る
療育現場は人が命。だからこそ、開業初期から「専門職を揃えなきゃ」と思って高い人件費構成になりがちです。
でも、初期の利用者がまだ5人なのに
作業療法士・保育士・児童指導員をフルタイム3名配置…
という状況では、人件費率はすぐに80%を超えてしまいます。
エコルドでも初期は「理想の支援体制」を目指して配置しましたが、結果的に**“支援が良くても経営が苦しい”**というジレンマに陥ったことがあります。
■ 利益が出ないパターン②:定員割れ
定員=10名だけど、実際の稼働が3〜5名では、固定費を吸収できません。
よくある勘違いは「開業すれば勝手に子どもが来るだろう」という見込み。ですが現実は、初期は認知度ゼロ。紹介ルートゼロ。信頼もゼロ。からのスタートです。
■ 利益が出ないパターン③:加算が取れていない
報酬を正しく得るためには、加算の理解・書類整備・運用体制が不可欠。
「個別支援計画が書けない」「記録の質が低い」「加算要件が不明」…これでは、本来得られるはずの収入が失われてしまいます。
■ じゃあ、どうする?“経営と支援”を両立させる考え方
私自身、現場にいた頃は「数より質!」「利益より支援!」という思考でした。でも、それだけでは継続できません。
支援の質と事業の持続性。どちらかを犠牲にするのではなく、“両立させる”戦略が必要なんです。
例えば:
- 初期は保育士と児童指導員で運営し、専門職は非常勤や巡回で補う
- 利用者数が10名に達したら加配を増やす
- 個別支援加算や保育所等訪問支援など、加算設計を本部と一緒に戦略的に行う
経営の“見える化”と“数値に基づいた意思決定”が、支援の質を守る力になります。
■ 本部がサポートしていること
エコルドFCでは、こうした悩みに対応するために:
- 収支計画テンプレートの提供と伴走支援
- 開業前の人件費・定員・報酬シミュレーション
- 加算取得のための帳票整備・研修
- 稼働状況に応じた「支援の質とコストのバランス」アドバイス
を行っています。
「儲けたい」ではなく「潰したくない」——そんな想いで始めた方こそ、最初に数字と向き合ってほしいと感じています。
■ おわりに:理念と経営は両輪である
私は今、心からこう思います。
「療育は、理念だけじゃ続かない。でも、理念がなければ始めてはいけない」
持続可能な事業があってこそ、継続的な支援ができます。
経営と支援は対立するものではなく、一緒に回していく“車の両輪”です。
数字に強い経営者が増えれば、支援の質も上がる。
現場の想いを理解している経営者こそ、長く愛される療育施設をつくれる。
そう信じて、今日も本部として現場を支え続けています。











