目次
はじめに
児童発達支援や放課後等デイサービスを運営する中で、多くの管理者・児発管が頭を悩ませるのが加算算定です。
「加算をつけると収益が増える」と考える一方で、
- 「要件を満たしているのか不安」
- 「どこまで記録が必要なのか分からない」
- 「過去に監査で指摘されたことがある」
といった声もよく聞かれます。
加算は自動的にもらえる権利ではなく、厳格な要件を満たした事業所だけが請求できる評価報酬です。
しかし、要件を満たさずに請求した場合には「不正請求」とみなされ、返還金や行政処分のリスクを抱えることになります。
本稿では、加算算定における重要な留意事項を整理し、監査に強い事業所運営のための実践ポイントを詳しく解説します。
1. 加算とは何か?
加算は、
- 専門職を配置したり、
- 特別な支援を提供したりする事業所を評価する仕組み
です。つまり、**「質の高いサービスを提供している証拠」**として認められたときに加算がつきます。
ポイント
- 厳格な算定要件を満たす必要がある
- 指定権者に「事前届出」が必須
- 支援の事実と記録が揃っていなければ算定できない
2. 加算算定開始のルールと「15日ルール」
届出手続き
新しい加算を算定する場合、介護給付費等算定に係る体制等に関する届出書を提出しなければなりません。
15日ルール
- 毎月15日までに届出が受理 → 翌月1日から算定可能
- 16日以降に届出が受理 → 翌々月1日から算定開始
実例
- 4月15日に提出 → 5月1日から算定
- 4月16日に提出 → 6月1日から算定
誤解しやすいポイント
要件を満たさない状態で請求を続けた場合、「不正請求」となり、最も重い処分である指定取消につながる可能性があります。
3. 要件を満たさなくなった場合の対応
加算の要件を満たさなくなったときは、速やかに「体制等に関する届出書」を提出する必要があります。
具体例
- 児童指導員が退職して要件を満たさなくなった場合
→ 退職した月の初日から加算を算定できません。
注意点
- 地域によっては「変更日から10日以内の届出」が求められる
- 届出を怠って請求を続けると「返還金+40%の加算金」という重いペナルティ
4. 不正請求と過誤調整
過誤調整(悪意なしの誤り)
- 原因:解釈ミスや記録漏れ
- 対応:誤って請求した分を全額返還し、自主的に訂正
不正請求(悪意あり)
- 原因:虚偽の届出、架空請求、水増し請求
- 対応:全額返還+40%加算金+指定取消などの行政処分
ポイント
監査では「悪意の有無」が厳しく問われます。
記録と事実が一致していなければ「悪意あり」と判断されるリスクが高まります。
5. 特に注意が必要な加算例
① 児童指導員等配置加算
- 常勤換算の計算が正しいか?
- 実際に資格を持つ職員が配置されているか?
- よくある間違い:送迎職員や事務員の勤務時間を算入してしまう
② 専門的支援実施加算
- 理学療法士などが専門計画に基づいて支援しているか?
- 支援の記録が残っているか?
- よくある間違い:専門職が在籍しているだけで記録なし
③ 家族支援加算・子育てサポート加算
- 相談援助を具体的に記録しているか?
- 個別支援計画に位置づけられているか?
- よくある間違い:送迎時の立ち話を算定、記録が曖昧
6. 加算算定に強い事業所を作るポイント
- 事実と記録を必ず一致させる
- 届出書を期限内に提出する
- 15日ルールを正しく理解する
- 要件を満たさなくなったら即相談・届出
- 加算ごとの典型的な誤り事例を職員全員で共有する
7. 第三部まとめ
- 加算は「権利」ではなく「要件を満たした義務の結果」
- 15日ルールを守らなければ不正請求になる
- 職員退職などで要件を満たさなくなった場合は即届出が必要
- 不正請求は「返還金+40%加算金+指定取消」に直結
- 児童指導員等配置加算、専門的支援加算、家族支援加算は特に注意が必要
おわりに
加算算定は、事業所の経営に直結する重要なテーマです。
正しく理解して活用すれば、収益を安定させ、子どもたちにより良い支援を提供することができます。
一方で、誤った算定や不正請求は、事業所の存続そのものを脅かします。
**「加算=監査で最も指摘されやすい領域」**という意識を持ち、日々の記録管理と届出を徹底しましょう。
次回は「第四部:義務化された研修と安全確保措置」について詳しく解説します。











