“福祉のブランド力”が問われる時代へ〜選ばれる事業所のマーケティング戦略〜

「うちは“広告”なんてしない。良い支援をしていれば、きっと利用者は増えるはず。」
そう思っている福祉事業者は、まだまだ多いかもしれません。

しかし今の時代、「良い支援をしている」だけでは選ばれない のが現実です。
保護者も行政も、そして地域も――選択肢が増えすぎて、どこを信じればいいかわからない。

そんな時代だからこそ、求められているのが「福祉のブランド力」です。
この記事では、“選ばれる事業所”をつくるためのマーケティング戦略 を、福祉経営の視点から解説していきます。

なぜ今、“福祉にブランド力”が必要なのか?

1. 競合が増えすぎた

児童発達支援・放課後等デイサービスは、全国に約2万拠点以上。
同じ地域に複数の事業所があるのが当たり前になりました。
“差がわかりにくいサービス” だからこそ、保護者は「安心感」「印象」「信頼」を基準に選びます。

つまり、見た目・雰囲気・発信の質=支援の質 と受け取られる時代なのです。

2. SNSで比較される時代

今の保護者は、ネットやSNSで簡単に情報を比較できます。

  • Google口コミ
  • Instagramの投稿
  • 事業所のホームページ
    どれか一つでも「なんとなく印象がいい」と感じたところに問い合わせが集中します。

3. 採用にも直結する

ブランディングは利用者だけの話ではありません。
スタッフが「ここで働きたい」と思う理由の大半は、事業所の雰囲気・理念・デザイン にあります。
「想いに共感できる職場」を作れるかどうかが、人材確保の鍵です。

“ブランド力”とは何か?

ブランドというと「ロゴ」「色」「デザイン」を思い浮かべる人も多いでしょう。
もちろんそれも大事ですが、本質はそこではありません。

福祉におけるブランドとは

“誰のために、何を、どんな想いでやっているのか”
を、一貫して伝え続けられる力のこと。

たとえば、スタッフの対応・施設の清潔感・チラシ・SNS・保護者対応――。
それらがすべて同じ「軸」で統一されていれば、それがブランドになります。

選ばれる事業所の3つのブランド要素

理念の言語化

「なぜこの事業をやっているのか?」をスタッフ全員が語れるかどうか。
これが最初のステップです。

理念が現場に根づいている事業所は、スタッフの言葉がブレません。
保護者との会話の端々に、信頼がにじみ出ます。

例:「子どもを真ん中に置く」「二次障害にさせない社会をつくる」
――このようなシンプルで力強い理念は、伝えるほどにブランドを強くします。

デザインと空間の統一

「清潔で安心できる」「優しい雰囲気」「子どもがワクワクする」
そんな印象を与える内装やデザインは、実は支援の一部でもあります。

  • 看板やロゴが統一されている
  • 送迎車が清潔で、ラッピングデザインも印象的
  • 職員の服装に清潔感がある
    これらは“無意識の信頼”を積み重ねます。

発信の一貫性

HP、Instagram、パンフレットなどで伝える言葉がバラバラだと、信頼が崩れます。
「誰に」「何を伝えたいのか」を明確にし、定期的に更新・発信することがブランドを維持します。

SNS・広報で意識すべき3つのポイント

1. 「支援の裏側」を発信する

「今日は制作をしました」ではなく、
「〇〇が苦手な子が、できるようになるためにこんな工夫をしています」といった投稿が効果的。
保護者は“支援のプロセス”に共感し、信頼を深めます。

2. “顔が見える”投稿を意識

スタッフ紹介や活動風景など、温度感のある発信は強いです。
「この人たちなら安心」と思ってもらうことが、問い合わせにつながります。

3. 更新の継続

どんなに良い投稿でも、3か月で止まれば意味がありません。
SNSやHPの更新頻度そのものが、“事業の勢い”の象徴になります。

ブランドとマーケティングの違い

混同されやすいですが、マーケティングは「集客の仕組み」、ブランドは「信頼の蓄積」です。

項目マーケティングブランド
目的利用者を増やす信頼を積み上げる
期間短期(数か月〜1年)長期(3年以上)
手法広告、SEO、SNS、紹介理念、デザイン、発信の一貫性
結果問い合わせ数選ばれ続ける力

マーケティングで「知ってもらい」、ブランドで「選ばれ続ける」。
この2つを両輪で回すことが重要です。

ブランドを育てる仕組み

1. 職員全員で理念を共有する

理念研修やミーティングで、「うちの支援の目的は何か?」を定期的に確認する。
言葉にできる人が増えると、自然に現場が整います。

2. 行動基準を決める

「どう行動したら理念を体現できるか」を可視化します。
例:

  • 子どもに指示する前に1回褒める
  • 保護者対応は必ず笑顔で5秒話す
  • 送迎車は毎朝点検して清潔を保つ

小さな行動ルールが、ブランドを形づくります。

3. 広報担当を決める

SNSやHP更新を「誰かが空いたときにやる」では続きません。
専任(またはチーム)を置き、計画的に運用しましょう。

エコルドのブランディング戦略

療育センターエコルドでは、「二次障害にさせない社会をつくる」という理念を軸に、全国のフランチャイズ加盟店で統一したブランド戦略を展開しています。

  • ロゴ・デザイン統一:全国どこでも“エコルドらしさ”を感じられるデザイン
  • 動画マニュアル・SNSテンプレート:発信の一貫性を担保
  • 理念研修:スタッフ全員が「子どもを真ん中に置く支援」を言語化できるようにする
  • 地域密着型広報:保育園・学校・行政との関係づくりを本部が支援

加盟者の声として、
「ブランドがあるから採用が強くなった」
「見学時の印象で“他より安心感がある”と言われる」
といったフィードバックを多数いただいています。

終わりに

福祉の世界において、ブランドとは“見た目”ではなく“信頼”です。
その信頼を築くのは、理念の一貫性と、日々の積み重ねです。

  • 何を大切にしているか
  • どんな想いで子どもと向き合っているか
  • その想いが、地域や保護者に伝わっているか

この3つを整えることが、福祉経営のマーケティングの本質です。

療育センターエコルドでは、理念×デザイン×発信力を三本柱に、加盟者とともに“選ばれる事業所”を全国に広げています。
「自分の想いを形にした福祉ブランドをつくりたい」と思う方は、ぜひ一度ご相談ください。

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nozomi nakayama

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療育コンサル中山です。 全国にエコルドのフランチャイズと業務改善クラウドシステム「EcoldLINK」を広げるため、さまざまな情報発信をしています!