“感動型ビジネス”としての福祉――数値化できない価値をどう伝えるか

「福祉の価値って、どうやって説明するんですか?」

福祉の仕事をしていると、よくこんな質問を受けます。
「この事業って、どのくらい儲かるんですか?」
「数字で見ると、どれくらいの成長が見込めるんですか?」

確かに、経営者として利益や効率を考えるのは当然です。
しかし、福祉という仕事の本質は、数字で測れない価値にあります。

たとえば、
・初めて笑顔を見せてくれた子ども
・自分で靴を履けるようになった瞬間
・「先生だいすき」と言われた日

それらの出来事は、どれも利益計算には載らない。
でも、現場で働く人にとっては、何よりの報酬です。

この「数値化できない価値」をどう伝えるか。
それが、これからの福祉経営の大きなテーマになっています。

「感動」が価値になる時代へ

モノが溢れる時代、消費者は“感情”で選ぶようになりました。
コーヒー1杯でも、「誰と飲むか」「どんな想いで淹れているか」が重要になる。

同じように、福祉事業も“体験価値”の時代に入っています。
保護者は「どんな支援を受けるか」だけでなく、
「どんな人に支援してもらうか」「どんな気持ちで通えるか」を見ています。

つまり、福祉は“感動型ビジネス”なのです。

ただ支援するだけでなく、子どもと家族の心に残る体験をつくる。
その積み重ねが、地域から信頼されるブランドを育てます。

「数字で示せない成果」をどう扱うか

経営では、「成果を可視化する」ことが求められます。
行政も加算も、エビデンスや記録を重視する。

それは当然の流れですが、問題は――
“すべてを数字で評価してしまう”ことです。

たとえば、
・1日あたりの利用者数
・加算率や稼働率
・人件費率

これらは経営を支える大切な数字ですが、
現場の努力や子どもの変化をすべて表すことはできません。

福祉事業で求められるのは、**「数字+物語」で成果を伝える力」**です。

「物語」がブランドになる

子どもたちの成長や、保護者との関係性――。
そこには、数字よりも雄弁に価値を語る“ストーリー”があります。

たとえば、
「最初は泣いてばかりいたAくんが、今では年下の子の靴を手伝うようになった」
「学校では自信をなくしていたBくんが、ここでは“自分が得意なこと”を見つけた」

こうしたエピソードを発信することは、福祉事業のブランディングそのものです。
データではなく“人の心”を動かす力。
これが“感動型ビジネス”の核です。

エコルドでは、SNSやnoteなどでこうしたストーリーを積極的に発信しています。
数字だけでは伝えきれない「人の変化」を社会に見せていく。
それが、福祉のイメージを変える第一歩になります。

感動を「再現できる仕組み」にする

“感動”というと、どうしても「偶然の奇跡」のように思われがちです。
でも、本当に強い組織は、その感動を再現性のある仕組みにしています。

その仕組みとは――

  • 職員が同じ理念で動いている
  • 子どもへの関わり方が統一されている
  • 保護者対応が丁寧で一貫している

つまり、“支援の質”を組織文化として設計しているということ。

感動は、偶然ではなく、理念と仕組みの積み重ねから生まれます。

スタッフが「やりがい」で燃え尽きないために

福祉業界では、「やりがい搾取」という言葉を耳にすることがあります。
感動を重視しすぎて、スタッフの心がすり減ってしまう。

これは、理念経営と感情経営のバランスが崩れている状態です。

感動を大切にすることは素晴らしい。
でも、それを“仕組みで支える”ことが重要です。

・記録や報告をICT化して負担を軽減する
・相談しやすいチーム文化をつくる
・頑張りを評価制度で可視化する

こうした整備があるからこそ、スタッフは安心して“心の仕事”ができるのです。

「共感の連鎖」が採用を変える

感動は、利用者だけでなく、働く人の心も動かします。

保育士や児童指導員の多くが、「子どもの笑顔が見たい」「誰かの役に立ちたい」という想いでこの仕事を選びます。
つまり、感動を発信することは、採用活動そのものなのです。

求人票に理念や支援方針を載せるだけでなく、
実際の現場エピソードやスタッフの声を発信することで、
「ここで働きたい」と思う人が自然と集まります。

感動を外に伝えることは、仲間を増やすマーケティングでもあるのです。

感動を「数字」に翻訳する方法もある

とはいえ、経営者としては「感動だけでは経営できない」と思うでしょう。

そこで重要なのが、感動を数字に翻訳する工夫です。

例えば、
・満足度アンケート(保護者・児童)
・職員のやりがい調査
・保護者面談の改善提案数
・SNS投稿や口コミ数

こうした“感情を示すデータ”を集め、指標として活用する。
それにより、感動と経営の両立が可能になります。

「感動の見える化」は、これからの福祉経営のキーワードです。

感動を社会に“翻訳”するのが経営者の仕事

現場で生まれた感動を、社会に伝わる言葉に変える。
それが、福祉経営者の新しい使命です。

行政・企業・保護者・地域――それぞれに響く形で伝える必要があります。

  • 行政には「成果」としてのエビデンス
  • 保護者には「安心」としてのストーリー
  • スタッフには「誇り」としての理念

経営者は、それぞれのステークホルダーに合わせて“翻訳”していく力が求められます。
福祉の価値を社会語で説明できる人こそ、次の時代のリーダーです。

“感動型ビジネス”が地域を豊かにする

感動には、連鎖する力があります。
一人の子どもの成長が、家庭を明るくし、地域をやさしくする。

地域の人が「エコルドっていいね」「あの事業所、いつも笑顔があふれてる」と感じた瞬間、
それはもう“地域資本”になっています。

つまり、感動を生み出す事業所は、地域の幸福度を上げる存在なのです。
それが、福祉がもつ最大の社会的インパクトです。

エコルドが目指す“感動を仕組み化する福祉”

私たちエコルドは、感動を「仕組み」で支える福祉を目指しています。

  • 動画マニュアルで理念共有
  • Slackで即レス文化
  • スタッフ評価制度で“努力の可視化”
  • 現場の感動をnote・SNSで社会発信

こうして、日々の小さな感動を、誰かの希望につなげていく。
それが、エコルドの考える“感動型ビジネス”の形です。

終わりに ― 数字を超えた「価値」をつくる

福祉は「売上」や「利益」だけで測れる仕事ではありません。
でも、だからこそ経営者には、その価値を“言葉と仕組み”で伝える責任があります。

感動は、経営資源です。
数字にはならなくても、スタッフを動かし、地域を変える力があります。

私たちは、子どもたちの「できた!」を、社会の「希望」に変えていく。
その連鎖を生み出すのが、感動型フランチャイズの使命です。

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nozomi nakayama

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療育コンサル中山です。 全国にエコルドのフランチャイズと業務改善クラウドシステム「EcoldLINK」を広げるため、さまざまな情報発信をしています!