児童発達支援・放課後等デイサービスにおける指導監査と管理者の心構え(第四部)

はじめに

令和4年度以降、児童発達支援・放課後等デイサービスの運営において、「研修」「訓練」「安全確保」 が完全義務化されました。
これは単なる法令上の手続きではなく、子どもの命と権利を守るための根幹に位置づけられています。

監査の現場でも、研修記録や訓練報告、安全確保の計画書類は必ずチェックされるようになっており、「やりました」では通用しない時代に突入しました。

本稿では、法改正の背景と具体的な実施ポイントを整理し、監査に強い事業所運営を目指す管理者・児発管に必要な知識を解説します。なお、感染症蔓延防止委員会についてはここでは触れず、昨今、残念ながら注目されてしまっている「虐待」や「事故」、「安全」を中心に解説していきます。


1. 法改正の背景と義務化の流れ

児童福祉法の改正や「こども家庭庁」設置を背景に、障害児通所支援の制度は大きな転換を迎えました。

特に、虐待事件や不正請求が社会問題化したことを受け、職員研修・防災訓練・虐待防止の体制整備が義務化。

  • 研修:年6回以上の実施が必須
  • 訓練:災害・虐待防止・事故防止を含むBCP訓練の実施
  • 安全確保:虐待防止委員会・安全計画の策定・記録の保管

これらは「努力義務」から「完全義務化」に格上げされ、すべての事業所が対応しなければなりません。


2. 研修の義務化と実務ポイント

研修回数と内容

  • 年6回以上、全職員を対象とした研修を実施
  • テーマ例:虐待防止、身体拘束適正化、感染症対応、個別支援計画の作成、保護者対応、コンプライアンス

記録の重要性

  • 開催日時、参加者、内容を記録し保存
  • 実施報告は監査で必ず確認される

ICT活用

「エコルド学び放題」のようなオンライン研修システムを導入することで、

  • 多忙な現場でも効率的に受講
  • 全職員に均一な知識を浸透
  • 記録も自動保存

という大きなメリットがあります。


3. 訓練(BCP・虐待防止・事故防止)

訓練は形式的な避難訓練にとどまらず、BCP(業務継続計画)に基づいた実効性のあるものが求められます。

災害時訓練

  • 地震・火災・水害など複数のシナリオを想定
  • 停電・交通機関麻痺・通信障害を含めた実践的な対応訓練

虐待防止訓練

  • 職員間の小さな言動が虐待につながらないかをシミュレーション
  • 内部通報制度の利用方法を確認

事故防止訓練

  • 送迎時の交通事故想定
  • 医療的ケア児への緊急対応

4. 安全確保と委員会設置

虐待防止委員会・身体拘束適正化委員会

  • 全事業所に設置が義務化
  • 職員研修・ケース検討・報告体制を一元化

安全計画

  • 事業所ごとに「安全確保計画書」を作成し、毎年更新
  • 感染症・自然災害・虐待防止・事故対応を網羅

記録と証跡

  • 会議録・計画書・実施記録を保存
  • 監査での第一チェック項目

5. 指導監査で見られるポイント

厚労省が定める最新の「監査指針」では、以下が重点項目とされています。

  1. 研修実施記録が揃っているか
  2. 訓練内容が形骸化していないか
  3. 虐待防止委員会が定期的に機能しているか
  4. 安全計画が現場で周知されているか

監査官は「事実と記録が一致しているか」を最も重視します。


6. 実務に活かすための工夫

  • 年間計画表を作成し、研修・訓練・委員会開催を事前にスケジューリング
  • チェックリストで「実施・記録・報告」の抜け漏れを防止
  • ICTシステムで研修・委員会記録を一元管理

7. まとめ

  • 令和4年度以降、研修・訓練・安全確保は完全義務化
  • 研修は年6回以上、訓練はBCPに基づき実践的に
  • 虐待防止委員会と安全計画の策定が必須
  • 記録と証跡を残さなければ監査でアウト

おわりに

「形式的にやっているつもり」では、監査や保護者の信頼を得ることはできません。
子どもの命と権利を守る拠点として、事業所は真に安全な場であるべきです。

エコルドマガジン編集部

エコルドマガジン編集部

エコルドマガジン編集部は、児童発達支援・放課後等デイサービスの開業・経営支援に特化した情報を発信しています。 報酬改定や制度の最新解説から、収益モデル、採用・人材育成まで、専門性と実務経験に基づく記事を通じて、事業運営をサポートします。