目次
はじめに ― なぜ今、運営指導を意識しなければならないのか
児童発達支援や放課後等デイサービスを運営する事業者にとって、「運営指導」や「指導監査」は避けて通れないものです。
令和6年度の某市の運営指導結果を見ると、対象となった 205サービスのうち、1サービスあたり平均4.1件の指摘 がなされています。つまり、どんなにしっかりと運営しているつもりでも、何かしらの不備は必ず見つかる ということです。
この指摘は、単なる形式的な指摘にとどまらず、
- 報酬減算(30~50%減算など)
- 不正請求による返還
- さらには指定取消や効力停止
といった重い行政処分につながることも少なくありません。
では、事業所としてどのように備えればよいのでしょうか。
本記事では、エコルド・グループがこれまで全国の実地指導・運営指導の立ち会いを経験してきた内容や指定権者から出される資料などをしながら、事業者が直面しやすいポイントを徹底解説します。
1. 人員配置基準 ― 欠如は即「減算」対象
基準を満たす人員配置とは?
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、児童指導員・保育士・児発管などの配置基準が厳密に定められています。
例えば放課後等デイサービス(定員10名)の場合:
- 児発管:1名以上
- 児童指導員または保育士:2名以上(利用者数に応じて増員が必要)
この基準を満たさない場合、人員欠如減算 が適用され、報酬の減額が行われます。
典型的な誤り
- 児童発達支援管理責任者が退職したが「みなし配置」が認められなかった
- 休暇・退職により一時的に人員欠如となったまま放置していた
- 加配加算を算定しているが、基準人員に充当してしまい、実際には「加配がいない」状態だった
行政処分のリスク
過去には、虐待行為や人員欠如により「指定の一部効力停止」が実際に行われています。
このような処分を受けると、地域からの信頼は大きく損なわれ、利用者募集にも影響します。
2. 加算算定 ― 書類と実態の不整合
延長支援加算の落とし穴
運営指導で最も多く指摘されたのが 延長支援加算 の誤算定です。
誤りの典型例は:
- 標準的な発達支援時間(児発=5時間、放デイ=3時間)未満で延長を算定してしまった
- 実際に行った延長時間ではなく、計画に書いた時間で算定してしまった
指導監査では、「計画通りに延長が設定され、かつ実際に実施され、その記録がある」こと が必須です。
加配加算・専門的支援体制加算
この加算の誤りも多発しています。
例えば、基準人員の欠如を加配人員で補ってしまい、結果的に「加配が存在していない」状態で算定していたケース。
指導監査では「基準人員」と「加配人員」は別枠として配置されているかを厳格に確認します。
3. 児童の受け入れ拒否禁止 ― 人格尊重義務違反
児童福祉法や障害者総合支援法では、正当な理由なく児童を受け入れ拒否することは禁止されています。
実際の事例
過去には、職員による虐待(身体的・心理的)が発覚し、指定効力停止処分 が下されました。
「障害が重いから」「対応が難しいから」という理由だけでは、受け入れ拒否はできません。
どうしても受け入れが困難な場合には:
- 体制が整っていない理由を明文化
- 他機関との連携や代替案を提示
- 保護者と誠実に協議
といった対応が必要です。
また、受け入れ拒否の禁止は運営基準でも明記されており、除外規定も記載されています。そこに準拠することのほか、受け入れを拒否すること、さらに軽い児童のみを選別し、受け入れることは全て基準違反となります。
4. 個別支援計画とモニタリング ― 減算の大きな原因
計画未作成による減算
児発・放デイでは、個別支援計画未作成減算(30~50%減) が最も大きなリスクです。
よくある不備:
- アセスメント未実施、記録なし
- 個別支援会議を開催していない、記録がない
- 同意や交付がサービス開始後になっている
- モニタリングを怠っている
チェックリストによる自己点検
指導監査では「アセスメントの実施日」「同意日」「交付日」など、書類の日付の整合性が細かく確認されます。
事業所としては、定期的に内部点検を行い、5年間の保存義務に耐えられる書類管理 が必須です。
また、これらは児童発達支援ガイドラインで明記されており、要約詳細化された資料では図表まで存在します。この状況下で個別支援計画書の作成の流れを知らなかったでは済まされないのです。作成の流れは必ず覚えておきましょう。また、私たちエコルド・グループのような厳しい監査機能を持つ外部機関にチェックをしてもらうこともオススメです。
5. 書類の整合性 ― 「重説・契約・運営規程」が一致しているか
指導監査で繰り返し指摘されているのが 書類間の不整合 です。
典型的な例
- 営業時間が「運営規程=9:00~16:00」「重説=8:30~15:30」と異なる
- 契約書に対象者区分の誤り
- 苦情受付先の表記が古いまま
防止策
- 書類更新時には「三点セット(運営規程・重説・契約書)」を一括確認
- 苦情受付や第三者評価の情報は毎年度更新
- 指定権者から公表される雛形様式の更新状況をチェックする
6. サービス提供記録 ― 単なる「行動記録」では不十分
サービス提供記録は、実績記録票と並んで給付費請求の根拠そのものです。
しかし、現場では「DVDを観た」「公園に行った」など、単なる行動記録にとどまる例が多発しています。また、運営基準では利用ごとに保護者に確認してもらうことを定めています。その記録が残されているかもポイントです。
求められるのは:
- 個別支援計画に基づいた支援内容の記録
- 目標達成度の評価が可能な記載
- 支援方法・成果の具体的な記述
- 保護者が当該サービス提供記録を確認したという記録
私たちが開発・運用するデジタルツール「Ecold LINK」のように連絡帳機能にサービス提供記録の要素を組み入れ、さらに写真付きで保護者に配信、保護者からはスマホアプリで確認することができるシステムを導入していると施設側も保護者側も安心です。
7. 利用者負担・費用徴収 ― 「実費相当」以外はNG
指導監査では、保護者に対する費用徴収についても厳しく見られます。
禁止されている例:
- 「お世話料」「管理協力費」など不明瞭な名目での徴収
- テレビやカラオケ利用料など一律徴収
- お出かけの際に「職員入場料」名目で費用徴収
すべての費用は利用児童の便益に供するものであり、活動する上での個別の配慮に必要であったり、本人の生活に必要な費用など「実費相当」であること、説明・同意があることが必須です。
なお、この詳細はQ&Aでも示されており、指導監査ではここは非常に厳格に判断してくるので要注意です。
8. 運営指導の流れと準備
一般的な指定権者の運営指導は次の流れで行われます:
- 実施通知書・調書送付
- 事前資料提出
- 実地での運営指導・調査(書類確認・聞き取り)
- 結果通知
- 改善報告提出
特に 事前資料提出段階での不備 は、指摘件数の増加に直結します。日々適正に運営することは当然ですが、運営指導で必要な事前資料などでの誤記も後々修正することが大変なので、運営指導の連絡があった際には適切に記載しましょう。
また、当然ですが運営指導のタイミングで過去の書類を改竄(かいざん)するなどは絶対にNGです。不正は不正を生み、気づいたらとんでも無く大きな不正になり、手がつけられなくなります。虚偽の書類、虚偽の説明は指定取り消しなど極めて重い行政処分に直結します。
くれぐれもそのような事がないように日々の適切な運営を心掛けるようにしてください。
9. 自己点検と職員研修 ― 日常業務に組み込む
指導監査は「3年に1回以上必ず来る」ものです。
これまで「この市は全然来ない」と安心している事業所も多いかと思いますが、最近になりこども家庭庁が全国の指定権者に「3年に1回以上は必ず実施するように」との通知を出しました。つまり、必ず3年に1回以上は運営指導に来るのです。
だから、私たちは日常業務の中に「指導監査に耐える運営」を組み込む必要があります。
- 毎月:人員配置チェック
- 四半期ごと:個別支援計画・モニタリング点検
- 年1回:自己点検シート・虐待防止研修
これらを定期的に行うことで、指摘リスクを最小化できます。
まとめ ― 監査は「敵」ではなく「運営を整える機会」
運営指導・監査は、事業所を困らせるためのものではなく、利用者にとって安心・安全なサービスを確保するためのものです。
しかし、実務的には「膨大な書類」「複雑な加算」「人員確保の困難さ」などで現場の負担が大きいのも事実です。
だからこそ、事前準備と専門的なサポート が重要になります。
エコルド・グループからのご案内
エコルド・グループでは、児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する施設様を対象に、運営コンサルティング を行っています。
創設者の北村耕太郎(元刑事)は、自らのエコルド・グループでの開業、運営、多数の実地指導(運営指導)の立ち会い経験を活かし、
- 不正請求・基準違反の防止
- 指導監査に備えた体制整備
- 職員研修・書類整備の実務支援
を直接ご提供しています。
「監査に怯える運営」から「監査に耐えられる運営」へ。
ご検討中の方は、ぜひ下記お問い合わせフォームより 無料相談 をお申し込みください。











