フランチャイズと聞くと、「本部がルールを決め、加盟店がそれに従う」という上下関係をイメージする人も多いかもしれません。
確かに、従来のフランチャイズモデルは「支援=指導」「本部=先生」という構図でした。
しかし、時代は変わりました。
今は、“一方的に教える本部”よりも、“一緒に成長する本部”が選ばれる時代です。
福祉分野、特に児童発達支援や放課後等デイサービスのように地域密着型の事業では、現場の声が何よりも価値を持ちます。
そのリアルを尊重しながら、共に成長する――これが、令和型の「共創するフランチャイズ」の在り方です。
この記事では、旧来型フランチャイズとの違い、共創型本部の特徴、そしてその仕組みをどう作るかを具体的に解説します。
目次
旧来型フランチャイズの限界
従来のフランチャイズは「マニュアルと管理」で成り立っていました。
本部が“正解”を持ち、加盟店がそれを守る。
この構造は、飲食や小売業では一定の成果を上げてきました。
しかし、福祉のように“人の心”を扱う事業では、そのやり方が通用しません。
旧来型の課題
- マニュアルが現場の実情と合わない
- 本部が現場を“管理”するだけで、対話がない
- 加盟者が孤立し、学び合いが生まれない
- “うまくいかない”理由を現場のせいにしてしまう
この構造では、現場の主体性が育たず、事業は長続きしません。
むしろ、理念と信頼でつながる“共創型”へ移行することが求められています。
“共創型フランチャイズ”とは何か
共創とは、「本部が教える」「加盟者が従う」ではなく、「本部と加盟者が共に学び、創る」という考え方です。
つまり、本部は「支援の上位者」ではなく「伴走者」。
加盟者は「指導を受ける側」ではなく「共に成長するパートナー」。
この関係性が成立すると、加盟者の現場知が本部の資産になり、本部のノウハウが加盟者の支えになる。
その“循環構造”が、共創型フランチャイズの本質です。
共創型本部の3つの特徴
共創を実現するフランチャイズ本部には、明確な共通点があります。
それは次の3つです。
- 本部が“聞く力”を持っている
- 加盟者が“発信できる仕組み”を持っている
- 両者が“理念”でつながっている
それぞれを詳しく見ていきましょう。
1. 本部が“聞く力”を持っている
本部がすべての答えを持つ時代は終わりました。
現場で起きていること、利用者や保護者のリアルなニーズ、スタッフの課題――
それらを本部が「拾う力」を持っていることが、共創の第一歩です。
成功する本部は、現場の声を“報告書”で終わらせず、“次の施策”に活かします。
たとえば:
- Slackなどでリアルタイムに現場の声を共有
- 定例Zoomで意見交換を実施
- 改善提案を制度化し、採用された案は本部が全店に展開
“聞く本部”は、現場に信頼されます。
指示を出すだけの本部より、現場の声を吸い上げる本部が選ばれる時代です。
2. 加盟者が“発信できる仕組み”を持っている
共創の第二の条件は、加盟者が「意見を発信できる環境」があることです。
旧来のフランチャイズでは、本部からの一方通行が多く、「現場の意見が届かない」ことが当たり前でした。
しかし、共創型では逆です。
加盟者こそが“現場のプロ”。
その経験がネットワーク全体の財産になります。
仕組みの例:
- 加盟者によるノウハウ共有会
- 成功・失敗事例を共有するレポート制度
- 現場発の動画マニュアル化プロジェクト
加盟者同士が互いに刺激し合い、知見がネットワーク全体に還元される。
これが“共創するフランチャイズ”の理想形です。
3. 両者が“理念”でつながっている
共創の根底には、共通の「理念」があります。
理念がない共創は、ただの情報共有で終わります。
児童発達支援や放課後等デイサービスの場合、共通の理念は「子どもを真ん中に置くこと」。
この価値観を共有しているからこそ、本部と加盟者が同じ方向を向いて成長できる。
理念があると、意見の衝突も“建設的な議論”になります。
理念がないと、ただのクレームや不満で終わってしまう。
共創とは、理念でつながるパートナーシップのことなのです。
本部の役割は「教えること」から「引き出すこと」へ
従来の本部は、「教える側」。
しかし、令和型の本部は、「引き出す側」です。
現場には、日々の支援や経営を通じて蓄積された“リアルな知恵”がある。
その知恵を引き出し、共有し、仕組みに落とし込むことが、本部の新たな使命です。
たとえば:
- 優秀なスタッフの取り組みを動画化して全店で共有
- 現場発の教材や支援アイデアを本部がデータベース化
- 加盟店発の改善提案を“全体ノウハウ”に昇華
このように、“現場の声をシステムに変える”ことで、ネットワーク全体がアップデートされていきます。
共創型フランチャイズのメリット
共創モデルは、単に“仲良しフランチャイズ”ではありません。
経営面にも大きな効果をもたらします。
1. ノウハウの更新スピードが速い
現場から常に新しい知見が上がるため、制度改定や社会の変化に柔軟に対応できます。
2. 加盟者の満足度が高い
「一緒に作っている」という当事者意識が生まれ、信頼関係が強まります。
3. 本部のブランドが“現場の声”で育つ
加盟者のリアルな実践がブランドストーリーになり、社会的信頼が高まります。
共創は“効率化”ではなく、“共感経営”の仕組みです。
エコルドが目指す“共創型フランチャイズ”
エコルドでは、創業当初から「共創」を理念の中心に据えています。
現場との距離をなくす仕組み
- Slackで全加盟店がつながり、即時レスポンス
- オンライン定例会で意見交換と情報共有
- 加盟者同士の成功事例をYouTubeで発信
現場から生まれる本部機能
EcoldLINK(障害児通所支援クラウド)は、実際の児童発達支援管理責任者の声から開発されたシステムです。
つまり、本部が“作ったものを与える”のではなく、“現場と一緒に作り上げた”プロダクト。
まさにこれが「共創の象徴」です。
理念でつながるコミュニティ
月1回のオンラインミーティングでは、「経営数字」だけでなく「理念の共有」を行います。
「なぜこの仕事をするのか」「どう子どもと向き合うか」を語り合う時間が、加盟者同士の信頼を深めています。
共創型本部に必要な3つのマインドセット
本部が共創を実現するには、次の3つのマインドが不可欠です。
- 完璧主義を捨てる
本部も現場も、常に変化する環境で学び続ける。 - “現場の違い”を価値と捉える
地域性・人材構成・利用者層の違いを“多様性”として活かす。 - 理念を基準に判断する
意見がぶつかった時こそ、「子どもを真ん中に」に立ち返る。
これらが根付くと、加盟者は「管理されている」と感じず、「共に走っている」と実感できます。
終わりに ― 一方的な“支援”から、双方向の“共創”へ
フランチャイズの本質は、“仕組みを共有すること”ではなく、“価値を共有すること”です。
制度・マニュアル・ツールは手段であり、目的ではありません。
目的は、理念を共有し、共に成長し続けること。
福祉という「人の成長」を扱う事業において、
経営者と本部もまた、共に学び、共に変わる存在であるべきです。
共創とは、
「支援者と経営者」「本部と加盟者」「大人と子ども」――
そのすべての間に、対話と尊重を生み出す考え方。
その輪の中心に、“子ども”がいる限り、
フランチャイズは、社会を変える力を持ち続けるのです。
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