目次
経営者一人では、事業は回らない
福祉事業を立ち上げてしばらく経つと、多くの経営者が同じ壁にぶつかります。
それは、「現場を任せられる人がいない」という悩みです。
現場のスタッフは育っている。
利用者も増えて、地域からの信頼も得られてきた。
でも、いざ次の教室を出そうとしたときに――。
「自分が見ないと不安」
「管理者を任せられる人がいない」
そう感じて立ち止まってしまう経営者は少なくありません。
この問題を乗り越えるカギは、“管理者を経営者に育てること”にあります。
つまり、単なるリーダーではなく、現場と経営の両方を理解する人材を育てること。
それが、福祉フランチャイズの持続的な成長を支える本当の力になります。
「現場力」と「経営力」の分断がもたらす限界
多くの福祉事業では、現場での支援力は高いのに、経営感覚が欠けているケースが多いです。
たとえば、
- 加算や請求の仕組みを知らない
- 採用やシフト管理の数字感覚が弱い
- スタッフ教育が感覚的になっている
その結果、現場は回っていても、経営的には赤字だったり、過重労働が常態化したりします。
逆に、経営者が数字ばかりを重視しすぎて、現場の士気が下がるケースもある。
つまり、「現場と経営の断絶」こそが、福祉事業が成長しない最大の原因です。
この溝を埋めるには、管理者に「経営の視点」を持たせることが不可欠です。
それが、結果的に事業全体の安定と拡大につながっていきます。
管理者を“経営者視点”に変える3つのステップ
では、どうすれば管理者を「経営者視点」を持つ存在へと育てられるのでしょうか?
ポイントは、次の3つのステップです。
1. 数字を「現場の言葉」に変換する
まずは、「数字=現場を良くするためのツール」という感覚を持たせること。
例えば、
- 出席率が下がった=子どもたちが楽しめていない可能性
- 加算率が低い=支援内容や記録の質が課題
- 人件費率が高い=配置バランスにムダがある
こうして数字を“改善の言葉”に置き換えることで、
管理者が数字を「責める材料」ではなく「支援を良くするヒント」として使えるようになります。
2. 意思決定の経験を積ませる
次に、経営者がすべて決めるのではなく、管理者に**“判断の経験”**を与えること。
たとえば、
- 採用面接の同席
- 予算内での物品購入判断
- 職員会議の進行と決定
これらを通して、現場の小さな意思決定を重ねることが、将来的に「経営判断の基礎」になります。
経営者が「任せる勇気」を持つことが、育成の第一歩です。
3. “理念”を軸にしたリーダー育成
そして最後に重要なのが、理念の共有です。
福祉の現場は、「数字」だけでは動きません。
一人ひとりのスタッフが「なぜこの仕事をしているのか」を自分の言葉で語れるかどうか。
管理者が理念を理解し、それをスタッフに伝えられるようになったとき、
チーム全体が“経営的に自立した組織”へと変わっていきます。
経営者が不在でも理念が機能する。
それが、本当に強い福祉事業の姿です。
“管理者経営モデル”がフランチャイズを強くする
フランチャイズの最大の魅力は、「本部の仕組みを使いながら、自分の経営を実現できること」です。
でも、その力を最大限に発揮できるのは、現場に“ミニ経営者”がいるときです。
実際、エコルドの加盟者の中にも、
現場で育った管理者が2店舗目、3店舗目を立ち上げた例が多数あります。
彼らの共通点は、
- 現場の課題を数字で捉えられる
- スタッフを理念でまとめられる
- 本部のサポートを上手に活用できる
つまり、「支援者」と「経営者」のバランスを身につけた人材こそが、
フランチャイズの成長エンジンなのです。
“育成文化”がある組織は強い
一方で、管理者を育てられない組織には共通点があります。
- 経営者が忙しすぎて任せられない
- スタッフを“消耗品”のように扱ってしまう
- 教育コストを“ムダ”だと思っている
でも、これでは組織はいつまでたっても成長しません。
人を育てることは時間もコストもかかります。
しかし、「教える時間がない」と言う人ほど、結局は教え続ける時間を失っているのです。
管理者が育つ組織は、経営者が“教える文化”を大切にしています。
それが、福祉事業の「温度」を守りながら拡大していく唯一の道です。
育成のカギは“構造化”にある
「人を育てる」と聞くと、多くの人は“感覚的なOJT”を思い浮かべます。
でも、本当に強い組織は、育成を構造化しています。
たとえば、エコルドでは以下のような仕組みを整えています。
- 動画マニュアル:いつでも見返せる支援・事務手順
- 評価制度:スキルが見える化され、昇給と連動
- リーダー研修:理念・管理・経営の3領域を段階的に学ぶ
- Slackサポート:質問に即レス、孤立させない仕組み
こうした仕組みがあることで、
「育て方を育てる」ことができ、
新しい管理者が次の世代を育てるという好循環が生まれます。
経営者の役割は、“次の経営者”をつくること
多くの創業者が誤解しているのは、
「自分がずっと経営の中心でなければならない」という考えです。
本当の経営者の仕事は、
“次の経営者を育てること”です。
事業が安定してくると、経営者自身が「現場を離れる怖さ」を感じます。
でも、そこを乗り越えて「任せる」ことができたとき、
組織は本当の意味で“自走”を始めます。
任せることは、手放すことではありません。
信じて委ね、見守ること。
その関係性の中で、管理者は成長し、経営者も次のステージへ進めます。
“人を残す経営”が未来をつくる
建物やシステムはいつか古くなります。
でも、“人”は育てれば育てるほど、価値が増していく。
福祉フランチャイズの真の価値は、
「仕組み」ではなく、「人の育ち方」にあります。
- 現場の管理者が経営者へ
- 経営者が次の世代へ
- 地域に新しい支援者が生まれる
この連鎖が生まれたとき、
フランチャイズは単なる“展開モデル”ではなく、
“人を育てる教育機関”として地域に根づいていきます。
エコルドが目指す“人材循環型フランチャイズ”
私たちエコルドのフランチャイズでは、
加盟者が1店舗目を軌道に乗せたあと、
現場の管理者を次の経営者として独立支援する仕組みを整えています。
- 管理者育成研修の体系化
- 経営実務(人事・会計・制度)を本部が伴走
- FC内でのスピンオフ独立制度
こうして生まれた“管理者出身オーナー”たちは、
エコルドの理念を引き継ぎながら、地域に新しい拠点を広げています。
これは、単なるフランチャイズ拡大ではなく、
「人が育ち、理念が継承されるネットワーク」です。
終わりに ― “育つ組織”は、“続く組織”へ
管理者が経営者になるということは、
「組織が一人の力から卒業する」ということです。
事業を立ち上げたときの情熱を、次の世代が受け継ぎ、
それぞれの地域で新しい形に育てていく。
それこそが、福祉フランチャイズが持つ最大の可能性です。
経営者が自分の分身をつくるのではなく、
“自分を超える人を育てる”こと。
それが、10年後も続く組織の条件です。
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