“地域資本主義”としての福祉フランチャイズ ――儲けと社会貢献の新しいバランス

「福祉で儲けるのは悪いこと?」という誤解

「福祉で儲けるなんてどうなの?」
この言葉を、私は何度も聞いてきました。

確かに、“福祉”と“ビジネス”という言葉は、今でも多くの人にとって相容れないイメージがあります。
「利益を出すこと=人の不幸でお金を得る」と誤解されることもある。

しかし、本当にそうでしょうか?

利益を出すからこそ、安定的に支援が続けられる。
職員に正当な給与を支払い、設備を整え、地域の雇用を守る。
それこそが、「持続可能な福祉」ではないかと私は思うのです。

福祉は慈善ではなく、地域の経済を支える「産業」でもあります。
そのことに気づき始めた経営者が今、増えています。

「地域資本主義」とは何か

“地域資本主義”という言葉を聞いたことがありますか?

これは、経済学者の原丈人氏が提唱した考え方で、
「大都市中心の資本主義ではなく、地域の中でお金・人・想いを循環させる経済モデル」のことです。

つまり、

  • 地域で生まれた利益を、地域に還元する
  • 外部投資ではなく、地域の信頼で事業を育てる
  • “人を幸せにすること”を経済の目的にする

この考え方は、まさに福祉事業と相性がいい。
なぜなら、福祉こそ「地域に根ざし、地域で回るビジネス」だからです。

“地域資本主義”と福祉フランチャイズの共通点

一見、フランチャイズという仕組みは「全国展開」「拡大」「利益重視」という印象を持たれがちです。
しかし、正しく設計された福祉フランチャイズは、むしろ地域資本主義の実践形態に近いのです。

たとえば、エコルドのような児童発達支援・放課後等デイサービスのフランチャイズでは、
加盟者の多くがその地域に住む人たち。
つまり、地域の課題を“地域の手で解決する”構造になっています。

さらに、利益は本部に吸い上げられるのではなく、
現場で働く職員や地域の再投資に回る。
スタッフの給与、教室の改善、地域イベントへの協賛など――。

こうして、お金も信頼も“地域の中で循環する”。
それが、福祉フランチャイズの持つ潜在的な力です。

「大企業の資本」では支えられない地域がある

地方に行けば行くほど感じるのが、
「福祉をやりたくても、地域にノウハウや仕組みがない」という現実です。

大手企業が展開するチェーンモデルでは、
現場の細やかなニーズには対応しきれない。
逆に、個人事業では制度の理解・書類管理・職員育成などで限界がくる。

その中間を埋めるのが、地域フランチャイズ型の福祉です。

  • 現場は地域密着で運営できる
  • 経営や制度対応は本部が支える
  • 両者が協働して「持続可能な支援」を作る

この仕組みこそが、“地域資本主義のエコシステム”として機能するのです。

「儲けすぎない経営」が信頼を生む

福祉事業では、「どれだけ利益を出すか」よりも「どう利益を使うか」が問われます。

地域資本主義の考え方では、
利益の最大化ではなく、“幸福の最大化”が目的。

そのためには、「儲けすぎない」「分け合う」経営が理想です。

・利益の一部を職員研修に回す
・地域イベントやボランティアに協賛する
・利用者の家族支援のために自費プログラムを提供する

このように“再投資の設計”がある事業所ほど、地域からの信頼を得ています。

つまり、福祉フランチャイズは「規模の拡大」ではなく「信頼の拡大」を軸にした経営。
それが、一般的なフランチャイズとの最も大きな違いです。

「地域で雇う」「地域で育てる」が最大の社会貢献

児童発達支援や放課後等デイサービスの現場では、
地域の保育士・教員・介護職などが再び働ける環境が整っています。

特に女性スタッフの再雇用や、子育て世代の短時間勤務など、
“地域で働く機会”を生み出すことができる。

これは、行政の支援を超えた民間発の雇用政策でもあります。

フランチャイズ本部が研修やマニュアルを提供することで、
経験が浅いスタッフでも安心して働ける。
その結果、地域の人材が地域の子どもたちを支えるという“循環構造”ができあがる。

これもまた、地域資本主義そのものです。

「お金」よりも「想い」でつながるネットワーク

多くのフランチャイズでは、“契約関係”が中心です。
でも、福祉のフランチャイズでは、“理念の共感”がすべての土台になります。

本部と加盟者の関係は、単なる「ビジネスパートナー」ではなく、
「同じ理念を共有する仲間」です。

Slackやオンライン会議などを通して、全国の加盟者が意見を交わし、
成功事例や失敗談を共有し合う。

本部は上司ではなく、“伴走者”。
この関係性があるからこそ、フランチャイズでも「地域ごとの文化」を守りながら成長できるのです。

「儲かる」ではなく、「続く」仕組みを

制度改定や少子化が進む中で、
福祉事業は“儲かるビジネス”から“続けるビジネス”へと変わりつつあります。

一時的な利益ではなく、地域に根付いた長期運営こそが価値。

そのために必要なのは、

  • 職員が定着し続ける組織文化
  • 利用者との信頼関係
  • 行政・学校・地域とのつながり

これらを地道に積み上げていくこと。

フランチャイズの強みは、この「継続の仕組み」を共有できることにあります。

福祉が“地域の経済”を回す時代へ

かつての経済は「モノを売ること」で成り立っていました。
でも、これからの地域経済は「人を支えること」で動くようになる。

介護・保育・療育といった分野は、
消費ではなく“共助”の経済。

支援を受ける人がいて、支援する人がいて、そこに雇用が生まれ、
地域の中でお金が回る。

福祉フランチャイズは、地域社会の“経済エンジン”としての役割を担いつつあります。

エコルドが目指す“地域資本主義型フランチャイズ”

私たちエコルドのフランチャイズでは、
「地域で稼ぎ、地域で還元する」ことを最も大切にしています。

・地域人材の雇用と育成
・地域行事や学校との協働
・利益の再投資による持続的支援

この仕組みをつくることで、
単なる「福祉事業の拡大」ではなく、「地域の未来をつくるネットワーク」を目指しています。

福祉が経済を動かし、経済がまた福祉を支える。
それが、エコルドが考える“地域資本主義の形”です。

終わりに ― 儲けと貢献の境界をなくす

「儲けたいのか、社会貢献したいのか」
そう問われるたびに、私は思います。

両方でいい。
むしろ、両方なければ続かない。

福祉の理想を現実にするには、経営の力が必要です。
経営を持続させるには、理念の力が必要です。

福祉フランチャイズは、この2つを両立できる数少ないモデルです。
そして、その形を全国に広げていくことが、
“地域資本主義”という新しい日本の経済の在り方につながると信じています。

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nozomi nakayama

nozomi nakayama

療育コンサル中山です。 全国にエコルドのフランチャイズと業務改善クラウドシステム「EcoldLINK」を広げるため、さまざまな情報発信をしています!