「2店舗目を出したら、全部がうまくいかなくなった」
「現場に任せた途端、方針がバラバラになった」
福祉フランチャイズや児童発達支援事業を経営していると、
この“多拠点の壁”にぶつかる経営者は少なくありません。
1店舗のうちは、代表の情熱とリーダーシップで何とか回せます。
しかし、2拠点目・3拠点目になると、「自分が行かなくても回る仕組み」がなければ一気に崩れる。
そこでカギになるのが、“現場リーダーの育成”です。
この記事では、児童発達支援・放課後等デイサービスを中心とした福祉事業において、
多店舗展開を成功させるための「リーダー育成術」を、経営の視点から徹底解説します。
目次
なぜ「2店舗目の壁」が起きるのか
多拠点展開の難しさは、ほぼすべてが“人”に集約されます。
1店舗目の成功要因は、
- 経営者自身の熱意
- 少数精鋭のチーム
- 顧客や保護者との距離の近さ
しかし、2店舗目以降になると、
- 代表がすべての現場を見きれない
- 判断が遅れる
- 理念が伝わらない
- 人材育成が追いつかない
結果、現場の混乱や離職、品質のばらつきが起きます。
これが「2店舗目の壁」と呼ばれる現象です。
解決策はただ一つ。
「経営者以外のリーダーを育てる仕組み」をつくること。
経営者が陥りやすい3つのワナ
① 「自分が一番できる病」
1店舗目の成功体験が強いほど、
「結局、自分がやった方が早い」となりがちです。
しかし、これこそが多拠点展開の最大のブレーキ。
経営者が現場に入りすぎると、リーダーが育つ機会を奪ってしまいます。
② 「信頼して任せる=放任」と勘違いする
任せることと、放置することは違います。
リーダーに権限を与えるには、同時に“伴走の仕組み”が必要。
Slackで進捗共有、週次の振り返り面談、動画マニュアルなど、
「見守りながら任せる」構造をつくることが重要です。
③ 「理念共有が口だけになる」
リーダー育成の最大の肝は、“理念の理解度”。
「うちの理念は〇〇です」と掲げるだけでは伝わりません。
理念を“自分の言葉で語れるリーダー”を育てる必要があります。
リーダーが育つ組織に共通する5つの仕組み
エコルドをはじめ、成功している福祉フランチャイズでは、
リーダー育成を偶然に任せず、「仕組み」で支えています。
ここではその共通点を5つ紹介します。
① 明確な「キャリアパス」を示す
リーダーを目指す道が見えない組織では、誰も成長しません。
- 指導員 → 主任 → 管理者 → エリアリーダー
といった明確なステップを示し、
「どんな力を身につければ次の役職に進めるのか」を可視化すること。
さらに、評価基準も“スキル”だけでなく“理念共感度”を含めるのがポイントです。
② 現場リーダーに「数字」を見せる
リーダーは“想い”だけでは動かせません。
支援の質と同時に、稼働率・加算・人件費率などの“数字”も理解する必要があります。
「数字で現場を見る力」は、リーダーを“プレイヤー”から“マネージャー”に変える。
本部がExcelやダッシュボードを共有し、
「数字の意味を現場言葉で説明できる文化」をつくることが重要です。
③ 教育を「本部任せ」にしない
リーダー育成を本部研修だけに頼るのではなく、
「日常の支援や会議そのものが育成の場になる」ように設計します。
- 会議でのファシリテーション役を交代制にする
- 新人面談をリーダー候補が担当する
- 現場動画を撮ってフィードバックし合う
現場の中で“体験しながら学べる機会”を増やすことで、
実践的なリーダーが育っていきます。
④ “理念の体現者”を可視化する
優れたリーダーは、理念を“語れる人”ではなく“体現できる人”。
理念を抽象的に語るのではなく、
「今日の支援の中でどう実践したか」を共有する場を設けましょう。
エコルドでは、Slack上に「理念実践チャンネル」を設け、
スタッフが日々の中で気づいた“理念エピソード”を投稿。
リーダーが理念を軸に行動する習慣が自然に根づいています。
⑤ 本部とリーダーが“チーム”として動く
多拠点化に成功するフランチャイズでは、
本部と各拠点が“上下関係”ではなく“横の連携”で動いています。
週次ミーティングでは、数字報告だけでなく、
「今週の挑戦」「理念に基づく判断事例」を共有。
データと感情の両面で本部と現場が対話することで、
リーダーの思考が磨かれていきます。
「管理者」と「リーダー」は違う
福祉業界では、管理者=リーダーと誤解されがちです。
でも実際は、両者の役割はまったく異なります。
| 役割 | 管理者 | リーダー |
|---|---|---|
| 主な目的 | 法令遵守・帳票管理 | チームの方向性づくり |
| 判断基準 | ルール・規程 | 理念・価値観 |
| 主なスキル | 書類・報告・調整力 | 人を動かす力・言語化力 |
| 成果指標 | 監査結果・加算達成 | チーム満足度・離職率・理念浸透度 |
リーダーとは、“管理する人”ではなく“文化をつくる人”。
管理者が現場を守り、リーダーが未来をつくる。
この二軸がそろって初めて、多拠点展開は安定します。
エコルド流・リーダー育成の仕組み
エコルドでは、フランチャイズ全体でリーダーを育てる仕組みを整えています。
① Slack・動画マニュアルによるナレッジ共有
現場で起きた課題や成功事例を、即座に共有できる環境を整備。
リーダー同士が横で学び合う“共育文化”が生まれています。
② 「理念プレゼン研修」
管理者候補が理念を自分の言葉で語る発表会を実施。
評価はスキルではなく“想いの伝わり方”。
この経験が、リーダーとしての軸を形成します。
③ 「データ×感情」のマネジメント研修
数値(稼働率・残業時間など)と感情(スタッフの声)を両面から分析し、
どう現場改善につなげるかを学ぶ研修を実施。
リーダーが“現場を数字で守る”視点を身につけています。
「人を育てる」ことは「自分を手放す」こと
経営者が本気でリーダーを育てようとするとき、
必ず「手放す勇気」が試されます。
- 判断を任せる
- 失敗を見守る
- 成果を“自分の手柄”にしない
経営者の役割は、現場の細部に介入することではなく、
リーダーが挑戦できる“安全な失敗の場”をつくることです。
人は「任せられている」と感じた瞬間に成長します。
逆に「監視されている」と感じた瞬間に止まります。
“任せる勇気”こそが、拡大経営のスタートラインです。
「拡大」と「理念浸透」を両立させるポイント
拠点が増えるほど、理念が薄まる。
これは福祉フランチャイズの共通課題です。
その解決策は、理念を“掲げる”のではなく“仕組みに埋め込む”こと。
- 面談シートに理念項目を入れる
- 評価制度に理念実践を反映
- 採用面接で理念理解を確認
理念が“日常の言葉”になることで、組織が一体化していきます。
終わりに ― リーダーが育つ組織は、未来が育つ
事業の拡大は、拠点数ではなく“人の数”で決まります。
どれだけ理念を語っても、それを実践するリーダーがいなければ続かない。
リーダーを育てることは、組織の未来を育てること。
そしてそれは、経営者が「自分の役割を進化させること」でもあります。
現場に信頼できるリーダーが生まれたとき、
経営者はようやく“本来の仕事”――ビジョンを描き、社会を変えること――に集中できるのです。
👉 リーダー育成を仕組み化した福祉フランチャイズに興味のある方は、こちらからお問い合わせください。











