「求人を出しても人が来ない」
「やっと採用しても、すぐ辞めてしまう」
これは、福祉業界で最も多い経営者の悩みです。
児童発達支援・放課後等デイサービスの現場では、保育士・児童指導員・作業療法士など専門職の採用競争が激化し、求人広告に頼るだけでは限界が見え始めています。
では、なぜ同じ地域・同じ条件で募集しても、応募が集まる事業所と集まらない事業所があるのか?
答えは、「理念を採用しているかどうか」です。
この記事では、給与や待遇だけでは戦えない時代において、
“理念採用”という新しい採用戦略をどのように実現していくかを、具体的な方法と実例を交えて解説します。
目次
今、求人広告が効かなくなっている理由
まず理解しておきたいのは、求人市場そのものが変化しているという現実です。
以前は「条件」「福利厚生」「通勤距離」など、求人票のスペックで比較される時代でした。
しかし今は、SNSや口コミで事業所の“空気感”や“働く人の姿勢”が見える時代。
つまり、人は「どこで働くか」よりも、「誰と、どんな想いで働くか」で職場を選ぶようになったのです。
求人サイトで見かける同じような言葉――
「アットホームな職場」「子どもが好きな方歓迎」「チームワークを大切にしています」
――もう、どこも同じに見えます。
この中で採用を成功させるには、「自分たちはなぜこの仕事をしているのか」を伝えることが必要です。
それが“理念採用”です。
“理念採用”とは何か?
理念採用とは、「理念に共感した人を採用する」という考え方です。
言い換えれば、「資格」や「スキル」ではなく、「価値観」で採用する。
そして、その理念に共感している人が現場に集まることで、自然とチームの方向性が揃っていく。
理念採用は、スキル採用よりも時間がかかるかもしれません。
しかし、離職率が劇的に下がり、現場が安定するという大きな効果をもたらします。
理念採用の効果
- 面接で理念に共感した人しか来ないため、入社後のミスマッチが少ない
- 現場に共通の価値観が生まれ、チームの意思決定が早くなる
- 「理念に合わない人」を採用しないため、職場の雰囲気が守られる
理念に共感する人は、多少の困難があっても“理念に戻れる”ので、辞めない。
これが、理念採用の最大の強みです。
“理念採用”を実現するための5つのステップ
理念採用は「理念を掲げる」だけでは成功しません。
伝え方・仕組み・面接の設計まで、戦略的に作り込む必要があります。
ここでは、具体的な5つのステップを紹介します。
1. 理念を「言語化」する
まず、経営者自身が理念を“伝わる言葉”に変換すること。
たとえば「子どもの笑顔のために」では抽象的すぎます。
- どんな笑顔を生みたいのか
- どんな社会を目指しているのか
- そのために何を大切にしているのか
理念は“スローガン”ではなく、“行動の指針”であることが重要です。
2. 理念を求人に載せる
求人の冒頭に、理念を明確に記載します。
たとえば:
「私たちは、“二次障害にさせない社会”をつくることを目指しています。」
「そのために、子ども一人ひとりの“できた”を見逃さない支援を行っています。」
理念を冒頭に出すことで、「自分に合う」と感じた人だけが応募してくるようになります。
これは、“フィルタリング採用”の効果です。
3. 面接では“価値観”を聞く
理念採用における面接では、資格や経歴よりも価値観を重視します。
質問例:
- 「あなたがこの仕事で一番大切にしたいことは何ですか?」
- 「支援で大変だった経験を、どう乗り越えましたか?」
- 「子どもができなかったとき、あなたはどう声をかけますか?」
答えの内容よりも、その人の“軸”が理念と共鳴しているかを見極めることが大切です。
4. 採用後も“理念教育”を続ける
採用はスタートです。
理念採用の真価は、採用後に理念を“育てる”ことで発揮されます。
- 毎月のミーティングで理念をテーマに語り合う
- 理念を基にした評価制度を導入する
- 現場でのエピソードを共有し、理念を実感させる
理念は“飾る”ものではなく、“日常で使う”もの。
日常会話の中で理念が語られる現場は、強い組織になります。
5. SNSや広報でも理念を発信する
理念を社内だけでなく、社外にも発信しましょう。
SNS、ホームページ、採用動画などで「理念の物語」を見せることで、共感が生まれます。
たとえば:
- 理念に基づいたスタッフ紹介(なぜこの仕事を選んだのか)
- 理念を実践した支援エピソードの投稿
- 理念を語る代表インタビュー
理念に共感した人は、「このチームで働きたい」と思って応募してきます。
これが、“理念が人を呼ぶ仕組み”です。
給与や待遇だけでは採用が難しい理由
求人広告で「給与アップ」「年間休日120日」と書いても、今の時代、それだけでは人は動きません。
なぜなら、働く人たちは「安心」よりも「共感」で職場を選ぶからです。
たとえば、少し給与が低くても、「この代表と働きたい」「この理念に共感する」と感じた職場の方が長く続く傾向にあります。
逆に、給与が高くても理念が曖昧な職場は、離職率が高くなります。
理念は、最強の採用ブランディングです。
理念に共感する人が集まれば、採用コストも下がり、紹介や口コミで応募が来るようになります。
これが、理念採用の“経営的リターン”です。
福祉業界こそ理念採用が必要な理由
児童発達支援・放課後等デイサービスは、「人の想い」で成り立つ仕事です。
マニュアルで完結しない“感情労働”の領域だからこそ、理念が組織を支える軸になります。
理念が浸透していないと、支援の質がバラつきます。
理念があるから、どんな職員も“子どもを真ん中に置いた判断”ができる。
そして、理念を共有する職員が増えることで、保護者からの信頼も自然と高まっていきます。
経営とは、理念を形にする行為。
採用とは、その理念に共感する仲間を集める行為。
この2つを一貫させることで、持続可能な福祉経営が生まれます。
エコルドが実践する理念採用の仕組み
エコルドでは、「二次障害にさせない社会をつくる」という理念を軸に採用活動を行っています。
- 求人票に理念を明記
- 面接で理念への共感を確認
- 入社時に理念研修を実施
- Slackで理念エピソードを共有
理念を“見える化”することで、採用の段階から「共感による選択」が起こる仕組みを構築しています。
結果として、採用コストは下がり、離職率も大幅に低下。
スタッフの定着と事業の安定化の両方を実現しています。
理念採用は、採用戦略ではなく“文化づくり”です。
理念で人を採り、理念で育て、理念でつながる。
それが、これからの福祉フランチャイズに求められる採用の形です。
終わりに ― 「理念」は最高の採用ツールであり、最大の定着策
これからの時代、“理念に惹かれて集まるチーム”こそが最強です。
どれだけ制度や環境を整えても、心の方向がバラバラな組織は長続きしません。
採用は、単に人を増やすことではなく、同じ未来を見られる仲間を増やすこと。
理念を採用し、理念で組織を育てる。
その姿勢が、支援の質を上げ、子どもたちの未来を変えていきます。
👉 理念に共感する仲間と共に成長できる福祉フランチャイズに興味のある方は、こちらからお問い合わせください。











