「求人を出しても応募が来ない」「採用してもすぐ辞めてしまう」――
児童発達支援や放課後等デイサービスを運営していると、こんな悩みを抱く経営者は多いのではないでしょうか。
少子化と人材不足が進む中で、福祉業界は“採用戦国時代”とも言える状況です。
しかし、そんな中でもスタッフが集まり、定着している事業所には共通点があります。
それが、理念を中心に据えた「共感採用」です。
求人条件や待遇だけで人を集める時代は終わりました。
これからは、「何のためにこの仕事をするのか」という“想い”に共感してくれる人を採る時代です。
この記事では、理念を採用活動の軸に据え、現場が強くなるための考え方と具体的手法を紹介します。
目次
採用難の時代に求められる「理念軸」
求人票を出せば人が来た時代は、もう終わりました。
福祉業界では、求人倍率が3〜5倍とも言われ、有資格者を取り合う構造になっています。
そんな中で、「給与・休日・勤務地」だけで差別化するのは限界があります。
なぜなら、他業種・他事業所も同じように改善しているからです。
では、どうすれば応募者の心を動かせるのか。
答えは、“理念に共感してくれる人にだけ届く発信”をすることです。
理念を明確に伝えることで、「この想いに共感したから働きたい」と感じる人が集まり、
結果として、ミスマッチが減り、定着率も上がります。
「理念共感型採用」とは何か?
理念共感型採用とは、スキルや資格よりも「価値観」を重視する採用手法です。
もちろん、資格や経験は大切です。
しかし、現場で最も重要なのは「どんな支援をしたいのか」「なぜこの仕事をしたいのか」という根本的な想いです。
理念共感型採用では、応募者が次の3つに“YES”と答えられるかを確認します。
- 事業の理念に共感できるか?
- その理念を自分の言葉で語れるか?
- 理念を現場で体現する姿が想像できるか?
この3つを満たす人は、スキルが足りなくても伸びていく可能性が非常に高いのです。
理念を採用に活かす3つのステップ
ステップ① 理念を「採用メッセージ」に変える
まずは理念を、求職者に伝わる言葉に変換しましょう。
たとえばエコルドの理念「二次障害にさせない社会をつくる」なら、
採用ページでは次のように伝えます。
子どもたちの“困りごと”をただ支援するのではなく、
将来の生きづらさを防ぐ――それが私たちの仕事です。
理念を“自分たちが何をしているか”ではなく、“なぜそれをしているか”で語ることで、
応募者の感情に届きます。
ステップ② 面接で「理念を軸に」話す
面接では、スキルや経歴よりも、理念に関する質問を多く取り入れましょう。
例:
- 「この仕事に興味を持ったきっかけは?」
- 「子どもの成長で大切にしていることは?」
- 「“子どもを真ん中に置く支援”とは、あなたにとってどんな意味ですか?」
こうした質問によって、応募者の価値観や共感度を見極められます。
また、面接官自身が理念を語ることで、応募者に“本気の想い”が伝わります。
理念を語れない面接は、理念のない組織を象徴してしまうのです。
ステップ③ 入職後も“理念教育”を続ける
採用は“入口”にすぎません。
入職後に理念を感じ続けられなければ、共感して入った人も離れていきます。
そのために必要なのが、“理念を学び続ける仕組み”です。
- 朝礼やミーティングで理念を共有する時間を設ける
- 理念をテーマにした研修やワークを行う
- 理念に基づく行動を称える“理念アワード”を実施する
理念は、一度教えて終わりではなく、“共に育てていく文化”として根づかせることが重要です。
理念採用の実践例
エコルドでは、採用段階から理念を中心に据えた取り組みを行っています。
1. 理念を語る採用ページ
採用ページの冒頭に理念を掲げ、
「理念に共感した方だけご応募ください」と明言。
共感層にだけ届くようにすることで、応募数は減っても、採用後の定着率は大幅に上がりました。
2. 面接で“価値観の一致”を最重視
スキルや経験より、「どんな支援者になりたいか」を重視した面接を実施。
「理念に惹かれて応募した」という応募者が全体の7割を占めています。
3. 入職後の理念研修
全職員が理念の背景・目的を学ぶ研修を受講。
理念が“言葉”から“文化”に変わるまで、継続的にフォローしています。
結果、理念共有を通じてスタッフ間の信頼が深まり、
「理念に共感して働く人が辞めない組織」を実現しています。
理念採用がもたらす3つの効果
1. 採用コストの削減
共感採用を導入した事業所では、Indeed広告などに頼らず、
口コミ・紹介での応募が増加しています。
理念が共感を生み、自然な採用ルートを作り出すのです。
2. ミスマッチの減少
理念に惹かれて入った人は、多少の困難があっても「なぜ働いているか」を見失いません。
これにより、早期離職が激減します。
3. 現場の雰囲気が変わる
同じ理念を共有するメンバーが集まると、会話の質も変わります。
「子どもをどう支えるか」という建設的な話が増え、組織が前向きに動くようになります。
理念が“採用ブランド”をつくる
求人票の条件は簡単に真似されます。
しかし、理念は真似できません。
理念こそが、事業所の“採用ブランド”になります。
- 「この理念に共感して応募しました」
- 「説明会で代表の話を聞いて感動しました」
そんな声が増えれば、採用は成功です。
理念に惹かれた人は、理念を次の人に伝えます。
そうして、共感の輪が広がっていくのです。
終わりに
採用難の時代だからこそ、理念で採用するという原点に立ち返るべきです。
理念に共感する人は、辞めない。
理念に共感する人は、育つ。
そして、理念に共感する人が集まった組織は、強くなる。
療育センターエコルドでは、理念を核にした採用・育成・経営支援を行っています。
“二次障害にさせない社会をつくる”という想いに共感し、
理念を軸にしたチームづくりを始めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。











