フランチャイズで児童発達支援を始める前に知っておくべき3つのポイント~成功事業者が実践していること~

成功する事業者と失敗する事業者の差は、初期段階の「心構え」と「学び」にあるのです。児童発達支援・放課後等デイサービスのフランチャイズで実績を出している事業者たちが、開業前に必ず実践していた「3つのポイント」をお伝えします。このポイントを押さえておくだけで、あなたのフランチャイズ経営の成功確度は大きく変わります。

「フランチャイズなら安心」は本当か?

児童発達支援や放課後等デイサービスのフランチャイズに興味を持っている人の多くが、こんな期待を持っています。

「フランチャイズなら、本部がサポートしてくれるから大丈夫」
「ビジネスモデルが確立されているから、失敗しないだろう」
「未経験でも、マニュアルがあれば経営できる」

気持ちはよくわかります。でも、この考え方だけでは、思い描いていた経営とは大きなギャップが生まれることがあります。

実は、児童福祉のフランチャイズで成功する事業者と、うまくいかない事業者の差は、初期段階の「心構え」と「学び」にあるのです。同じ本部のサポートを受けていても、成功する人と失敗する人がいる。それはなぜか?

答えは、シンプルです。「何を学ぶべきか」「何を準備すべきか」を知っているかどうかの差なのです。

ポイント1:「ビジネス理解」を深める――制度と収益構造を知る

フランチャイズだからこそ、自分で学ぶべきこと

成功している事業者に共通していることが1つあります。それは「本部の説明を聞くだけで終わらない」ということです。

多くのフランチャイズ志望者は、本部のセミナーや説明会に参加して、営業トークを聞いて「ふむふむ、良さそうだ」で判断してしまいます。でも、成功している事業者は違います。

「なぜこのビジネスモデルは成り立つのか」を自分たちで理解しようとします。

児童発達支援・放課後等デイサービスの収益は、大きく分けて3つです。

  • 基本報酬:児童1人あたりの利用に対する基本的な報酬(利用者数に左右される)
  • 加算:職員配置・支援内容・実績に基づく加算(要件を満たす必要がある)
  • 補助金・助成金:行政からの直接補助や営利法人への補助等(制度・年度ごとに変わる)

成功している事業者は、この3つの関係性と、各々のリスクを理解しています。特に大切なのは「加算」と「補助金」の仕組みです。これらは一見すると”ボーナス”のように見えます。でも、実は経営の脆さにもなり得るのです。

「加算依存経営」の落とし穴

フランチャイズの本部は、こう説明することがあります。「基本報酬に加えて、加算を取得すれば、月額収入が大きく増えます」

これは事実です。でも、成功している事業者は、同時にこう考えています。

「加算を目当てにした経営は、制度改定で一瞬にして崩壊する」

実例を挙げます。2023年の報酬改定で、ある加算が廃止されました。その加算を主要な収益源としていた事業所は、一気に経営が難しくなったのです。反対に、加算を「あれば良い」くらいに考えていた事業所は、制度改定の影響を最小限に抑えることができました。

成功している事業者は、開業前から「加算がなくても経営が成り立つ構造」を目指しています。具体的には、以下のことを実行しています。

  • 基本報酬だけで安定黒字になる利用者数を想定する
  • 加算は「利用者の支援の質を高めるための投資源」と位置付ける
  • 支援の質向上が、自然と加算につながるという流れを作る

つまり、「加算を取るから質を高める」のではなく、「質を高めるから加算が付く」という発想の転換です。

「3年先」までのビジネスプラン

もう1つ、成功している事業者が必ずやっていることがあります。それは「3年間の資金計画」を立てることです。

なぜ3年か?それは、報酬改定が原則3年ごとに行われるからです。成功している事業者は、開業前の段階で、こんなシナリオを想定しています。

【1年目】

  • 新規オープン。利用者集客に注力
  • 基本的なオペレーションの確立
  • スタッフの育成

【2年目】

  • 利用者数の安定化
  • 加算要件の達成に向けた取り組み
  • 収支が安定化する時期

【3年目】

  • 報酬改定の年。加算が変わる可能性がある
  • 新しい加算への対応 or 多角化への着手
  • 経営モデルのアップデート

この3年間を視野に入れることで、「今、何に投資すべきか」「今、何を学ぶべきか」が明確になるのです。

ポイント2:「現場理解」を深める――支援の質と運営の両立

ビジネスだけでは成功しない理由

児童福祉事業は、不思議な事業です。収益性の高さだけを追求しては、うまくいきません。かといって、支援の質だけを追求していても、経営は続きません。

「ビジネス」と「支援の質」の両立――これが、児童福祉事業の真の成功条件です。

成功している事業者に「開業前に一番学んだことは?」と聞くと、意外な答えが返ってきます。「実は、マニュアルや制度知識よりも、実際の現場を見ることが一番役立ちました」。これは多くの成功事業者の共通の声です。

「見学」が成功への道を開く

フランチャイズの本部は、通常、開業前に研修や見学の機会を提供しています。多くの志望者は、これを「形式的な義務」と捉えています。でも、成功している事業者は、この見学を「最大の学習機会」と捉えているのです。

見学時には、以下の5つをチェックしてください。

  1. スタッフの表情と動き
  • 子どもたちと自然な関わりができているか
  • スタッフが疲弊していないか
  • 指示待ちになっていないか
  1. 利用者の様子
  • 安心した表情で過ごしているか
  • 本当に発達支援ができているか
  • 利用者の満足度が感じられるか
  1. 施設のオペレーション
  • 業務がスムーズに回っているか
  • 記録作成に時間がかかりすぎていないか
  • ICTはどの程度活用されているか
  1. 保護者との関係
  • 保護者からの信頼が感じられるか
  • 連絡帳やコミュニケーションは充実しているか
  1. 管理者の工夫
  • どんな工夫をして、質を高めているのか
  • スタッフをどう育成しているのか
  • 経営上の工夫は何か

この5つをじっくり観察することで、「ビジネスモデルが本当に成り立つのか」が見えてくるのです。

「自分たちのやり方」を作る準備

ここで、大切なポイントです。フランチャイズ = 本部のやり方をそのまま真似する、ではありません。

成功している事業者は、フランチャイズの基本は学びながらも、「自分たちの地域に合わせた工夫」を加えています。たとえば、エコルドのフランチャイズでも、成功している加盟者は以下のような工夫をしています。

  • 地域の特性に合わせた利用者層の開拓
  • スタッフの育成方法をカスタマイズ
  • 保護者支援のプログラムを独自に発展
  • ICTツールを地域の特性に合わせて活用

つまり、フランチャイズの枠組みの中で、「自分たちの創意工夫」の入る余地を作っているのです。これは、スタッフのモチベーション向上にもつながります。「本部のマニュアルに従うだけの仕事」では、誰も熱は入りません。でも「自分たちで工夫できる、その枠の中での仕事」なら、スタッフも主体的に動くようになるのです。

ポイント3:「人材戦略」を構築する――採用から育成まで

フランチャイズ成功の最大の課題

もし、フランチャイズで最も大変なことは何か?と聞かれたら、成功している事業者のほぼ全員がこう答えます。「人の採用と育成です」

実は、これが本部の説明では意外と軽く扱われることが多いのです。「うちは教育体制が充実しています」「マニュアルと動画で対応できます」というような説明を聞くと、志望者は「ああ、人材の問題も解決されるんだ」と思ってしまいます。

でも、現実はそうではありません。

マニュアルと教育体制があっても、「適切な人材を採用できるかどうか」は、完全に経営者の力量に左右されます。そして、児童福祉事業ほど「人材の質が経営に直結する」ビジネスは、他にはありません。

「採用戦略」の重要性

成功している事業者は、開業前から「人材採用戦略」を立てています。具体的には、こんなことを実行しています。

【採用戦略の3つのステップ】

  1. どんな人を採用するか、の明確化
  • 「児童福祉の経験者が絶対条件か」「未経験でも育成可能か」など、事業の理念に合わせて採用基準を決める
  1. 採用ルートの複数化
  • ハローワーク、紹介会社、SNS、学校との連携など、複数のルートを確保
  • どれか1つに依存しない
  1. 採用後の育成ロードマップ
  • 採用して終わりではなく、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後にどのレベルに到達させるか、を事前に設計

特に大切なのは、採用の段階で「この人たちと、本当に理念を共有できるか」を見極めることです。児童福祉事業は、給与だけで人は動きません。「この事業を通じて、子どもたちの未来を作りたい」という共感がなければ、長続きしない仕事なのです。

「育成の仕組み化」が経営を安定させる

ここで、もう1つ重要なポイントがあります。成功している事業者は、「人材育成の仕組み化」を徹底しています。一般的には「育成=管理者の一対一の指導」と思われていますが、成功している事業者は違う考え方をしています。

「育成も、他の業務と同じように仕組み化できる」と考えています。具体的には、以下のようなことを実行しています。

  • 新人研修マニュアルの作成 ― 誰が教えても、同じ水準の教育ができる
  • 動画マニュアルの活用 ― ビデオを見ることで、繰り返し学習が可能
  • チェックリスト型の育成計画 ― 進捗状況が可視化でき、フィードバックがしやすい
  • メンター制度 ― 新人に専属メンターをつけ、心理的サポートも並行する
  • 定期的な研修とミーティング ― OJTだけでなく、OFF-JTも組み込む

このような仕組みがあると、どんなことが起きるか?

1人の管理者に依存しない、安定した育成体制ができるのです。これは、事業所の規模が大きくなるときにも、多拠点展開するときにも、極めて重要になります。

スタッフの定着率を高める工夫

成功している事業者の特徴として「スタッフの定着率が高い」というのがあります。これは何によって実現されているのか?給与が高いから?――いいえ、必ずしもそうではありません。

同じ給与水準でも、定着率に大きな差が出ている事業所があります。その差は、「スタッフが『成長できる』と感じているかどうか」に尽きるのです。成功している事業者は、こんなことを実行しています。

  • スタッフ個別の成長計画 ― 「あなたは、1年でこのレベルに到達できる」というプランを共有
  • 定期的なフィードバック ― 良い点も課題も、きちんと伝える
  • キャリアパスの提示 ― 「この先、どんなポジションがあるのか」を示す
  • 研修や資格取得のサポート ― 「学びたい」という気持ちを組織が応援する
  • スタッフの声を反映する仕組み ― 一方的な指示ではなく、現場の声を聞く

こうしたことを積み重ねることで、スタッフは「ここで働きたい」と思うようになるのです。結果として、定着率が高まり、利用者支援の質も向上し、経営も安定するという好循環が生まれます。

成功事業者が「開業前」にやっていた3つの準備

ここまでの内容をまとめると、成功している事業者は、開業前に以下の3つを徹底的に準備していました。

1. ビジネス理解の深掘り

  • 児童福祉の報酬体系、加算の仕組みを理解する
  • 「加算に依存しない経営設計」を自分たちで考える
  • 3年間の経営シナリオを複数パターン作成する
  • 本部のビジネスモデルの強みと弱みを分析する

2. 現場理解の徹底

  • 複数の運営事例を見学し、実際の運営を観察する
  • 「支援の質」と「経営効率」の両立を学ぶ
  • スタッフとの関わり方、保護者との関係構築を学ぶ
  • 自分たちが「どんな事業所を作りたいか」のイメージを明確にする

3. 人材戦略の構築

  • 「どんな人材が必要か」の採用基準を決める
  • 採用ルートを複数確保する
  • 新人育成のプログラムを事前に設計する
  • スタッフ定着のための施策を考える

フランチャイズ選びで、本当に大事なこと

ここで、1つ重要なポイントがあります。よく、フランチャイズを選ぶときに「本部のサポート体制が充実しているか」が重視されます。もちろん、これは大切です。

でも、さらに大事なのは「本部が、加盟者に『考えさせる』環境を提供しているか」です。優れたフランチャイズ本部は、「すべてを指示する」のではなく、「加盟者が自分たちで考え、工夫できる枠組みを提供する」のです。

エコルドのフランチャイズ「カスタムメイドエコルド」も、このスタンスをとっています。基本的な仕組みと研修は提供しますが、同時に加盟者にこう問いかけます。

「あなたたちの地域では、どんなニーズがあるか?」
「その中で、あなたたちはどんな事業所を作りたいか?」
「それを実現するために、何が必要か?」

こうした「考える」プロセスを通じて、初めて真の経営者マインドが育つのです。

失敗事例から学ぶ、開業前にやってはいけないこと

逆に、失敗している事業者に共通する特徴もあります。

❌ やってはいけないこと1:本部の説明を鵜呑みにする

「月収は○○円が見込めます」という説明を、そのまま信じる。現実は、地域による差、経営者の工夫による差が非常に大きいのです。

❌ やってはいけないこと2:「未経験だから」と学ぶことを放棄する

「本部がサポートしてくれるから」と、自分たちで学ぶことをしない。実は、経営者の学習意欲の差が、最終的な成否を大きく左右します。

❌ やってはいけないこと3:人材採用を後手に回す

開業直前になって「スタッフを急いて採用しなきゃ」となる。良い人材は、早期から確保しておく必要があるのです。

❌ やってはいけないこと4:支援の質と経営効率のどちらかを選ぶ

「とにかく利用者数を増やしたい」と支援の質をおろそかにしたり、「良い支援がしたい」と経営効率を無視したり。両立が、長期的な成功の鍵です。

今、この瞬間にやるべきこと

もし、あなたがフランチャイズでの児童発達支援事業を真剣に検討しているなら、今からやるべきことは3つです。

1. 実際の運営事例を、複数見学する

百聞は一見に如かず。リアルな現場を見ることで、ビジネスの実態が見えてきます。

2. 児童福祉の制度を、自分で学ぶ

本部のセミナーだけでなく、自分たちでも学習する。児童発達支援・放課後等デイサービスの制度、報酬体系、加算の仕組みを理解することから始めましょう。

3. 経営シミュレーションを立ててみる

「利用者数が○○人の場合、月収はいくらになるか」「スタッフ給与を含めた経常費用は?」こうしたシミュレーションを自分たちで立てることで、ビジネスの実像が見えてきます。

エコルドのフランチャイズが選ばれる理由

成功している事業者が「なぜエコルドのフランチャイズを選んだのか」というと、大きく3つの理由があります。

1. 「考える」機会を提供する

単なるマニュアル提供ではなく、加盟者が主体的に経営を考える環境を整えています。定期的なコンサルティングやミーティングを通じて、加盟者の課題解決をサポートします。

2. ICT・DXを通じた運営効率化

「Ecold LINK」などのクラウドシステムにより、支援記録の作成、データ分析、スタッフ育成をシステム化しています。これにより、手作業を減らし、本来の支援に時間を割くことができます。

3. 多角化への支援

児童発達支援・放課後等デイサービスだけに依存しない、多角化戦略もサポートしています。保護者支援、教育分野への展開など、新しい収益源の構築をコンサルティングします。

最後に――フランチャイズは、あなたの「夢を叶えるツール」

フランチャイズは、完璧な保証ではありません。でも、正しく選び、正しく学べば、あなたの「子どもたちと関わり、社会に貢献したい」という想いを、ビジネスの形で実現することはできます。

その第一歩は、「本当に理解し、本当に考える」ことなのです。開業前からの「学び」と「準備」が、開業後の「成功」を大きく左右します。

もし、あなたが真剣にフランチャイズでの独立を考えているなら、ぜひこの「3つのポイント」を意識して、準備を進めてください。そして、その過程で「本当に信頼できるパートナーがいるか」を見極めることが、最も大切です。

💡 フランチャイズに関する相談は、カスタムメイドエコルドへ

この記事で紹介した「ビジネス理解」「現場理解」「人材戦略」――これらは、実際の経営コンサルティングの中で、さらに深く学ぶことができます。

エコルドの「カスタムメイドエコルド」では、あなたの地域、あなたのスタイルに合わせた、完全カスタマイズのフランチャイズ構築をサポートしています。

  • 「本当にこのビジネスで成功するのか」という疑問にお答えします
  • あなたの地域での経営シミュレーションを、一緒に作成します
  • 実際の運営事例を、詳しく解説します
  • スタッフ採用・育成のサポート体制も、事前に確認できます

まずは、お気軽にご相談ください。あなたの「児童福祉事業への想い」を聞かせていただき、本当に一緒にやっていけるかどうか、一緒に考えましょう。

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nozomi nakayama

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療育コンサル中山です。 全国にエコルドのフランチャイズと業務改善クラウドシステム「EcoldLINK」を広げるため、さまざまな情報発信をしています!