施設内の『組織文化・チームワーク』がない施設の『組織的機能不全』

はじめに

放課後等デイサービスや児童発達支援施設の経営で、見落とされやすい課題があります。

それが「施設内の組織文化とチームワーク」です。

スタッフが自分の仕事だけをこなしている。情報共有がされていない。チームとしての一体感がない。

このような状態の施設では、支援品質にバラツキが生じ、スタッフが次々と辞めていき、最終的には施設全体が機能しなくなるのです。

特に新規スタッフは「この施設は何を大切にしているのか分からない」と感じ、短期間で離職してしまいます。

実は、スタッフが帰属意識を持ち、チームとして機能する施設では、支援品質が安定し、スタッフが定着し、新規利用者申し込みも増加するのです。

本記事では組織文化・チームワークがない施設で何が起きるのか、どのように組織を構築すれば施設全体が活性化するのかについて、具体的に解説します。

組織文化・チームワークがない施設で生じる現象

スタッフ同士の関係が希薄

スタッフが「自分の仕事だけやればいい」という意識を持ち、同僚との関わりを最小限にしています。

連絡、相談、報告が十分でなく、スタッフ間の距離が生まれるのです。

情報共有がされていない

利用者に関する重要な情報、業務上の問題、改善に関する情報が全スタッフに共有されていません。

その結果、スタッフが「施設全体で何が起きているのか」を理解できないままになるのです。

支援品質にバラツキが大きい

スタッフが個別に支援を進めているため、支援の内容や方法にバラツキが生じます。

同じ利用者に対しても「スタッフAの時は充実しているが、スタッフBの時は退屈そう」という状況が生じるのです。

新規スタッフの早期離職

新規スタッフが配置されても「施設の雰囲気が冷たい」「先輩スタッフのサポートがない」と感じます。

その結果、3ヶ月以内に離職するケースが多発するのです。

スタッフのモチベーションが低い

「施設のために」という意識が生まれず、スタッフは「給与をもらうための仕事」という感覚に陥ります。

その結果、支援に対する工夫や改善への取り組みがなくなり、最低限の仕事しかしなくなるのです。

実際に生じた事例

事例1:組織文化・チームワークがなく、組織的機能不全に陥った施設

状況

児童発達支援施設A。スタッフ8名、利用者25名の施設。

施設は「仕事をするための場所」という雰囲気で、スタッフ間に帰属意識や一体感がありませんでした。

スタッフの状態

各スタッフは自分の担当業務をこなすのに精一杯で、他のスタッフと関わることがほとんどありませんでした。

朝礼で簡潔な報告があるだけで、その後は各自が仕事をするという形です。

施設長も「細かく関わると煩雑になる」という理由で、スタッフに自主性に任せていました。

情報共有の欠落

利用者に関する重要な情報が全スタッフに共有されていませんでした。

例えば、Aさんが「保護者からこんな相談を受けた」という情報があっても、Bさんはそれを知りませんでした。

その結果、スタッフ間で対応が異なり、利用者が混乱することもありました。

支援品質のバラツキ

スタッフごとに支援の方法や内容が異なり、大きなバラツキが生じていました。

ベテランスタッフの支援は利用者が楽しんでいるのに対し、新規スタッフの支援は利用者が退屈そうという状況が常に生じていたのです。

新規スタッフの早期離職

新規スタッフが採用されても「施設の雰囲気が冷たい」と感じました。

先輩スタッフが積極的にサポートしないため、何をすればいいのか分からないままになるのです。

採用後3ヶ月以内に6割のスタッフが離職してしまいました。

スタッフ間のトラブル

情報共有が十分でないため、スタッフ間で「言った、言わない」というトラブルが頻繁に生じました。

また、スタッフが「なぜあの人はあんなやり方をするのか」という疑問を感じながらも、相談することがなく、不信感が溜まるのです。

利用者や保護者からのクレーム

支援品質のバラツキに気付いた保護者から「スタッフAさんの時と支援内容が違う」というクレームが入り始めました。

また、スタッフ間の連携不足により、利用者が混乱することもありました。

スタッフの離職が相次ぐ

職場の雰囲気が良くないため、ベテランスタッフまでが「別の施設に転職したい」と考え始めました。

1年間に4名のスタッフが離職し、採用と教育に追われる状況が続きました。

経営への影響

スタッフの頻繁な交代により、支援品質が低下し続けました。

保護者からのクレームが増加し、新規利用者申し込みが減少し始めました。

教訓

組織文化・チームワークがないと、スタッフのモチベーションが低下し、支援品質が低下し、離職が相次ぐのです。

事例2:組織文化・チームワークを構築し、施設が活性化した施設

状況

放課後等デイサービスB。オーナーが「スタッフ同士の関係が希薄」「チームワークがない」という問題に気付き、組織文化づくりに取り組むことにしました。

施策1:施設の理念・ビジョンの共有

オーナーはまず、全スタッフを集めて「この施設が何を大切にするのか」「どのような施設を目指すのか」を一緒に検討することにしました。

その過程で、スタッフから「利用者の笑顔を大切にしたい」「スタッフ同士が支え合える職場にしたい」という想いが出されました。

これらをまとめた施設の理念・ビジョンが完成し、全スタッフで共有されました。

施策2:朝礼と情報共有体制の充実

毎日の朝礼を「単なる報告会」から「情報共有と意思統一の場」に変えました。

時間は15分から30分に延ばし、前日の出来事、その日の重要な情報、利用者への対応方針などを全スタッフで共有することにしました。

その結果、スタッフが「施設全体で何が起きているのか」を把握するようになったのです。

施策3:月1回の全スタッフミーティング

月1回、全スタッフが参加するミーティングを開催することにしました。

内容:利用者への支援に関する事例検討、問題解決、改善提案、スタッフ間の懸念事項の共有

このミーティングで「なぜこの支援方法をするのか」「他の職場ではどうしているのか」といった質問が出され、全スタッフで学ぶ環境が作られました。

施策4:先輩スタッフのメンタリング体制構築

新規スタッフごとに、メンタリング担当の先輩スタッフを配置しました。

先輩スタッフは新規スタッフの相談に応じ、サポートする責任を持つようになったのです。

この関係を通じて、新規スタッフが施設の文化を学び、帰属意識を持つようになりました。

施策5:施設の価値観を実行する支援スタンダード作成

「利用者の笑顔を大切にする」という理念を実現するために、支援スタンダードを作成しました。

スタンダード内容:利用者との関わり方、声かけの工夫、支援時の配慮など

全スタッフがこのスタンダードに基づいて支援することで、支援品質が統一されました。

施策6:スタッフの成長を評価・認識する仕組み

スタッフが工夫や改善に取り組んだことを認識し、評価する仕組みを作りました。

月1回のミーティングで「今月の工夫賞」を選び、その工夫を全スタッフで共有することにしました。

これにより、スタッフが「施設のために工夫することが大切」という意識を持つようになったのです。

結果

組織文化・チームワーク構築により、以下のような効果が実現されました。

スタッフ間の関係が深まった

朝礼とミーティングを通じた情報共有により、スタッフ同士が「何を考えているのか」「どのような工夫をしているのか」を理解するようになりました。

その結果、スタッフ間に信頼関係が生まれ、相談しやすい環境が作られました。

新規スタッフの定着率が向上

先輩スタッフのメンタリングにより、新規スタッフが早期に施設の文化を学べるようになりました。

採用後3ヶ月以内の離職率が60%から15%に低下しました。

支援品質が統一された

支援スタンダードの導入により、どのスタッフが担当しても「同じ水準の支援」が提供されるようになりました。

保護者からの「スタッフによって対応が異なる」というクレームが減少しました。

スタッフのモチベーション向上

施設の理念・ビジョンに基づいた仕事ができるようになり、スタッフが「給与のための仕事」ではなく「やりがいのある仕事」として捉えるようになったのです。

工夫や改善が評価される仕組みにより、スタッフが積極的に取り組むようになりました。

スタッフの離職が激減

職場の雰囲気が良くなり、スタッフのモチベーションが向上したため、離職がほぼ0になりました。

年間離職率が40%から5%に低下しました。

利用者と保護者の満足度向上

支援品質が安定し、スタッフの対応が一貫性を持つようになったため、利用者と保護者の満足度が向上しました。

新規利用者申し込みが月間4名から月間9名に増加しました。

月間売上の増加

利用者数の増加とスタッフの定着により、月間売上が月間70万円から月間110万円に増加しました。

組織文化・チームワークがない施設で起きる3つの悪循環

悪循環1:関係が希薄→情報共有がない→支援品質がバラツク

スタッフ同士の関係が希薄なため、情報共有が十分でなくなります。

その結果、支援品質にバラツキが生じ、利用者と保護者の満足度が低下するのです。

悪循環2:新規スタッフの離職→採用に追われる→教育が不十分

新規スタッフが定着しないため、常に採用に追われることになります。

その結果、新規スタッフへの教育が不十分になり、さらに早期離職が増えるのです。

悪循環3:スタッフのモチベーション低下→支援品質低下→評判悪化

スタッフのモチベーションが低いため、支援品質が低下します。

その結果、施設の評判が悪化し、新規利用者申し込みが減少し、経営が悪化するのです。

組織文化・チームワーク構築の重要な5つの要素

要素1:施設の理念・ビジョンの明確化と共有

「この施設は何を大切にするのか」「どのような施設を目指すのか」を、全スタッフで一緒に考え、共有します。

この理念・ビジョンがスタッフの行動指針になるのです。

要素2:定期的な情報共有と意思統一**

毎日の朝礼や月1回のミーティングを通じて、全スタッフが「施設全体で何が起きているのか」を把握できるようにします。

情報共有により、スタッフの連携が生まれるのです。

要素3:支援スタンダードの作成と実行

施設の理念を実現するための「支援スタンダード」を作成し、全スタッフが同じ水準の支援を提供できるようにします。

要素4:先輩スタッフのメンタリング体制

新規スタッフごとに先輩スタッフを配置し、メンタリングを行うことで、新規スタッフが早期に施設の文化を学べるようにします。

要素5:スタッフの成長を認識・評価する仕組み**

スタッフの工夫や改善、成長を評価し、全スタッフで共有することで、スタッフの積極性が生まれるのです。

組織文化・チームワーク構築の実装ステップ

ステップ1:現在の施設の状態把握(1~2週間)

スタッフ間の関係、情報共有の方法、チームワークの状況を把握します。

必要に応じてスタッフにアンケートやインタビューを行います。

ステップ2:施設の理念・ビジョンの検討(2~3週間)

全スタッフを集めて「この施設は何を大切にするのか」「どのような施設を目指すのか」を一緒に検討します。

その結果、施設の理念・ビジョンを文書化します。

ステップ3:朝礼・ミーティング体系の設計(1~2週間)

毎日の朝礼と月1回のミーティングの内容、方法、時間を設計します。

ステップ4:支援スタンダードの作成(2~3週間)

施設の理念を実現するための「支援スタンダード」を作成します。

スタッフの意見を取り入れながら作成することが重要です。

ステップ5:先輩スタッフ向けメンタリング研修(1週間)

先輩スタッフを対象に「新規スタッフへのメンタリング方法」について研修を行います。

ステップ6:朝礼・ミーティングと支援スタンダードの実行開始(継続的)

設計した朝礼・ミーティングと支援スタンダードに基づいた支援を開始します。

ステップ7:スタッフの成長評価体制の構築(1~2週間)

スタッフの工夫や改善、成長を評価する仕組みを構築します。

組織文化・チームワークのチェックリスト

貴施設の組織文化・チームワークが構築されているか、以下のチェックリストで確認してみてください。

理念・ビジョンについて

  • □ 施設の理念・ビジョンが明確に定められているか
  • □ 全スタッフが理念・ビジョンを理解しているか
  • □ 日々の支援が理念・ビジョンに基づいているか

情報共有について

  • □ 毎日朝礼を実施しているか
  • □ 月1回以上のミーティングを実施しているか
  • □ 利用者に関する重要な情報が全スタッフに共有されているか

支援スタンダードについて

  • □ 支援スタンダードを作成しているか
  • □ 全スタッフが支援スタンダードに基づいて支援しているか
  • □ スタッフ間で支援品質のバラツキが少ないか

新規スタッフについて

  • □ 先輩スタッフによるメンタリング体制があるか
  • □ 新規スタッフの3ヶ月以内離職率は15%以下か
  • □ 新規スタッフが施設の文化を早期に学べるか

スタッフのモチベーションについて

  • □ スタッフが工夫や改善に取り組んでいるか
  • □ スタッフの成長が評価・認識されているか
  • □ スタッフの総離職率は10%以下か

スタッフ間の関係について

  • □ スタッフ間で信頼関係があるか
  • □ スタッフが相談しやすい環境か
  • □ チームとしての一体感があるか

これらのチェック項目で「いいえ」が5個以上の場合、組織文化・チームワークの構築が強く推奨されます。

組織文化・チームワーク構築における注意点

注意点1:トップダウンではなく、全員参加で進める

理念・ビジョンや支援スタンダードを、施設長が一方的に決めるのではなく、スタッフの意見を取り入れながら作成することが重要です。

スタッフが「自分たちで決めた」という実感を持つことで、実行力が生まれるのです。

注意点2:言葉ではなく、行動で示す

オーナーが「チームワークが大切」と言っても、施設長自身がスタッフの話を聞かなければ、スタッフは納得しません。

オーナー・管理者が率先して理念・ビジョンを実行し、スタッフの意見に耳を傾けることが重要です。

注意点3:形式化させない

朝礼やミーティングが「やらなければならない義務」になると、スタッフのモチベーションが低下します。

朝礼やミーティングが「本当に意味のある時間」になるよう、内容の工夫が必要です。

注意点4:継続することが最も重要

組織文化づくりは「一度やったら終わり」ではなく、継続的に取り組むことが重要です。

定期的に施設の状態を振り返り、改善を続けることで、組織文化が根付くのです。

組織文化・チームワーク構築により、施設が活性化する

ここまでご説明してきた通り、施設内の組織文化・チームワーク構築は、スタッフの帰属意識、支援品質の統一、スタッフ定着率に直結する極めて重要な課題なのです。

組織文化・チームワークを構築することで、以下のような効果が期待できます。

  • スタッフ間に信頼関係が生まれる
  • 新規スタッフの定着率が向上する
  • 支援品質が統一される
  • スタッフのモチベーションが向上する
  • 利用者と保護者の満足度が向上する
  • 月間利用者数が増加する
  • 月間売上が増加する

しかし実際には、多くの施設はスタッフの関係が希薄で、情報共有が不十分で、チームワークが機能していない状況に置かれています。

その理由は、以下のような点にあります。

  • 組織文化・チームワークの重要性を認識していない
  • 理念・ビジョンが明確でない
  • スタッフとの対話の時間がない
  • 支援スタンダードが定まっていない

カスタムメイドエコルドのコンサルティングでは、組織文化・チームワーク構築に特化したサポートを行っています。

  • 施設の理念・ビジョン検討サポート
  • 朝礼・ミーティング体系の設計サポート
  • 支援スタンダード作成サポート
  • 管理者むけ研修
  • スタッフの成長評価体制構築サポート

組織文化・チームワークを構築することで、スタッフが帰属意識を持ち、支援品質が統一され、最終的には「月間利用者数の増加」「年間利益の向上」につながります。

貴施設の組織文化・チームワーク構築について、専門家の視点からサポートしてみませんか。無料相談からお気軽にお問い合わせください。

→ 組織文化・チームワーク構築について相談する https://custom.d2i.jp/contact.html


カスタムメイドエコルドは、放課後等デイサービス・児童発達支援施設の経営課題に特化したコンサルティングサービスです。組織文化構築からスタッフ定着促進まで、施設の『安定した経営基盤』をトータルでサポートいたします。

nozomi nakayama

nozomi nakayama

療育コンサル中山です。 全国にエコルドのフランチャイズと業務改善クラウドシステム「EcoldLINK」を広げるため、さまざまな情報発信をしています!