福祉事業における“第二の柱”〜児発・放デイからの多角化戦略〜

児童発達支援や放課後等デイサービス(以下、児発・放デイ)は、いま全国で急速に広がっている分野です。
「地域のニーズに応えたい」「福祉を通じて社会貢献をしたい」と開業を決意する人も増えています。

ただし、ここで一つ押さえておきたい視点があります。
それは――“児発・放デイだけで経営を完結させるのはリスクがある” ということです。

制度改定や報酬単価の変動、利用者数の上限といった要因で、事業の安定性は常に揺さぶられます。
そこで注目されているのが 「多角化戦略」=第二の柱をつくること です。

この記事では、児発・放デイ事業者が取り組みやすい多角化の方向性と、なぜ今それが必要なのかを経営の視点で掘り下げていきます。

児発・放デイ一本足経営のリスク

制度改定の影響を受けやすい

福祉事業は制度ビジネスです。報酬単価の引き下げや加算要件の厳格化があると、収益が直撃されます。
例えば「送迎加算の縮小」「人員配置基準の強化」が実施されるだけで、月の利益が大きく減る可能性があります。

利用者数の上限

児発・放デイは1日10名〜20名程度の定員制が一般的です。
いくらニーズがあっても無制限に受け入れられず、収益拡大には限界があります。

人材リスク

採用難によって定員いっぱい受け入れられない、職員の離職でシフトが回らない――これらも売上に直結します。

👉 だからこそ、一本足ではなく 「もう一つの収益源」 を持つことが経営の安定につながります。

多角化戦略の方向性

児発・放デイから派生させやすい事業は、大きく4つに分類できます。

1. 未就学児への支援強化(児童発達支援・保育園併設)

未就学児のニーズは年々高まっています。

  • 保育園併設モデル:きょうだい児利用、送迎負担の軽減、採用力アップにつながる。
  • 早期支援に特化することで、卒園後の放デイ利用へスムーズに移行できる。

2. 就労・自立支援への展開

小学生〜高校生を経た後、必ず出てくるのが「働く・生きる」支援です。

  • 就労継続支援B型
  • 自立訓練(生活訓練)
  • 就労移行支援

これらを組み合わせることで「子ども期から大人期まで一貫した支援」が可能になります。

3. 相談支援事業

児発・放デイの利用には、相談支援事業所の計画相談が必要です。

  • 自社で相談支援を持つことで、利用者に一貫した支援が提供できる。
  • 行政・医療・学校との連携窓口にもなり、地域での信頼性が高まる。

4. 地域サービスとの連携(高齢福祉・学童保育など)

人口動態を見れば、少子高齢化は避けられません。

  • 高齢福祉(デイサービス・訪問介護)と児童福祉を一体で展開する事例もある。
  • 学童保育や子育て支援拠点と連携することで、地域に根差した“包括的な子育て支援”が可能になる。

多角化のメリット

  1. 収益の安定化
    複数のサービスがあることで、どれかが制度改定の影響を受けても全体で安定できる。
  2. 利用者のライフステージに対応できる
    「幼児期から成人期まで一貫した支援」を提供できると、保護者から絶大な信頼を得られる。
  3. 採用・人材定着につながる
    多様な事業があることで、職員がキャリアパスを描きやすくなる。
    「児発→放デイ→就労支援」とステップアップできる環境は、人材定着に効果的です。
  4. 地域でのブランド力向上
    単なる1事業所ではなく「包括的な福祉拠点」として認知され、行政や学校からの相談も増える。

多角化の難しさと注意点

もちろん、簡単に二本目の柱が作れるわけではありません。

  • 新規指定や基準確認に時間とコストがかかる。
  • 専門人材(相談支援専門員、就労支援スタッフなど)の確保が必要。
  • 拡大スピードを誤ると「本業の児発・放デイが疎かになる」リスクがある。

👉 ポイントは、「いきなり大規模に広げない」こと。
まずは自事業の強みを活かせる分野から、段階的に展開することが重要です。

エコルドの多角化モデル

療育センターエコルドでは、フランチャイズ加盟者が安定的に経営を続けられるよう、多角化の道筋を本部が用意しています。

  • 保育園併設モデルの推奨
  • 相談支援事業の立ち上げ支援
  • 保育所等訪問支援の立ち上げ支援
  • ICTシステム「EcoldLINK」による全事業共通の運営基盤
  • 将来的な就労支援・自立訓練への展開サポート

加盟者の声として、
「放デイ一本では将来が不安だったが、相談支援を始めたことで地域の信頼が増した」
「保育園との併設で採用が安定し、利用者の流れもスムーズになった」
といった事例が寄せられています。

終わりに

児発・放デイの需要は確実にあります。
しかし、それだけに依存するのは経営上のリスクです。
“第二の柱”をどう築くかは、これからの福祉経営者にとって避けて通れないテーマです。

  • 制度改定に左右されない安定性
  • 利用者のライフステージを見通した支援
  • 職員が育ち続けるキャリア環境

これらを実現するのが「多角化戦略」です。

エコルドは、「二次障害にさせない社会をつくる」というビジョンのもと、全国でフランチャイズ加盟者を募集しています。
「児発・放デイから始めて、将来は包括的な福祉拠点へ展開したい」
そう思われた方は、ぜひ一度ご相談ください。

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nozomi nakayama

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療育コンサル中山です。 全国にエコルドのフランチャイズと業務改善クラウドシステム「EcoldLINK」を広げるため、さまざまな情報発信をしています!